「銀のスケート ハンス・ブリンカーの物語」中・下巻
M.M. ドッジ 作/石井桃子 訳
埼玉福祉会(大活字本シリーズ)



上巻から少しあきましたが、中巻、下巻、よみました。

中巻は、ハンスとグレーテルの家族の問題はおいておいて、
そのほか恵まれた少年たちのスケート旅行のことがどんどん書かれています。
運河の上をスケートでずっと旅していくんです。
なにせ氷がずっと続いているんです。
間に書かれている景色、風土、仲間たちの行動がめずらしかったです。

さっぱりしたキャプテン肌のピーター君。イギリスから来たベン
太めで気のいいヤコブ。いばりやなところもあるカール
ランベルトルードウィヒ

旅行や、オランダの歴史、気質の説明もいいけど、そういう記述が続くといったいどうなることかと思ってしまう。
でも、これは、訳者あとがきによると、
「この本もたいへん長く、お話でありながら、旅行案内であったり、歴史の本であったり」(p.213-214)

する面もあるようでした。
石井さんは、そういう部分は幾分省いているところもあるそうです。
(でないと日本の少年少女の読者には長すぎるのかもしれないですね?)
そして、驚いたことに、作者は、(オランダ人の血はひいているけれど)アメリカの人なんだそうです。

ハンスとグレーテルの家族は、どうなったでしょうか?
謎の事柄の真相は?
そして、銀のスケート靴は、誰の手に入ったでしょうか。

解決に至る展開がうまくいきすぎという点はあるかも。
スケート大会は一大イベントです。そこにも、爽やかな友情がみられました。

子供たちの将来。
わたしはカトリンカのところで涙がでた。
かわいいけれど中身のない、リンリンなるだけのベルのような、カトリンカ。
高慢なリシーよりも、まだ問題ありそう。そのうち誰からも相手にされなくなりそうな子。
でも、貧しくても誠実だったハンスや、立派なピーター、ヒルダアニーと違い、
嫌な子はこうなるのか。
カトリンカが
「本気になるということがあってくれれば」(p.205)
しあわせになれたのか。
うまく言えないけれど、心がいたみました。



(追記)
挿絵のヒルダ・ファン・ストックムの作品、『楽しいスケート遠足』読みました。