「かたあしだちょうのエルフ」
おのき がく 文・絵
ポプラ社



「土曜親じかん 本好きの子どもにしたいけど…」の記事書きましたが、
あの中で、視聴者のかたからの投稿みたいなので
ある人から、この絵本が挙げられていた。

この絵本の名前はきいたことあって、
いつかはなー…と頭の片隅のほうにあったかも。
よし、読もうと。

その投稿者の人の言葉の中に、「自己犠牲」、という言い方をされていた。
自己犠牲って…? かたあしだちょうというタイトルから想像されること。
どんな話だろうと読んでみたら、
(ありきたりな言い方だけど)感動です。

なんでエルフはこんなに強くやさしくなれたんだ?

だちょうのエルフは、すばらしい大きな若いだちょうです。
エルフとは、アフリカの言葉で「千」のことだそう。
千メートルもひといきで走れるんです。

エルフは心もやさしい。他の動物の子どもたちを背中にのせてくれます。

エルフがみんなを守って怪我をして、片足になったとき、
はじめのうちこそ、みんなはえさをくれたりしますが、
「 エルフは 日がたつに つれて、
 なんとなく みんなから
 わすれられて いきました。」

「なんとなく」ですよ…。
みんなも自分の家族のことでせいいっぱい。だけど、あんまり悲しい…。

エルフは今ではもう、ろくにえさも食べられず、
体はかさかさにひからびて、ハイエナにもねらわれています。
立ったまま目をつぶることしかできません。
エルフはひとつぶ涙をおとします。

さいごは、いいません。
大きな愛がまってます。

あんなにつらい目にあってなお、
自分のことを忘れてひとを助けることができたエルフの
尊さが心にしみます。


番組の中で、また他の人が挙げていた本に『ないた赤おに』がありましたが、
あちらは大泣きできる絵本、こちらも人の心の大切なというか、そういう部分に響く絵本だと思います。

(参考:『ないた赤おに』 私の読んだ、いもとようこさんの絵のもの