「満月をまって」
メアリー・リン・レイ 文/バーバラ・クーニー 絵
掛川恭子 訳
あすなろ書房



ひさしぶりのバーバラ・クーニーの絵本
今度は、他の人の文章に絵をつけた絵本でした。

「著者あとがき」を見ますと、
100年以上前のこと、ニューヨーク州のハドソンからさほど遠くないところに、かごを作って暮らしをたてているひとびとがいたということです。
その人たちを題材にとった、絵本です。

「ぼく」のとうさんは、満月の日になると、かごをもって町へ売りに行きます。
歩いて売りにいかなければならないので、帰りが遅くても道を照らしてくれるから。

原題は、「BASKET MOON」
なんか、いいですね。

バスケットを売りにいく日の月、ということを単純に表しているのか、
それとも、もっと深い意味があるのか…。

山の木の声をききたいと、「ぼく」は思う。
ビッグ・ジョーは言います。
「きく耳があれば、きこえるよ」


バスケットを売りに町へ行きたい少年。
待つこと、仕事をてつだうこと、成長…。
希望がかなえられても試練が少年をはばんだ。

おかあさんと少年を横から見た絵が印象的。
少年の、いちばん暗い心の時の絵。
ぎゅっとこぶしを握った少年と、少年の肩に手をおくお母さん。

少年は、風に、山に耳をすますことを覚えました。

(追記)
奥付をみていたら、これは1999年の著作権で、
クーニーさんは2000年に亡くなられているので、
もしかすると、クーニーさんの最後の絵本になるのでしょうか。