「バヤヤ」

1950年 チェコスロバキア
原題 BAJAJA
監督 イジー・トルンカ



「チェコの古代伝説」「真夏の夜の夢」
で見た、イジー・トルンカの人形アニメ映画です。

貧しい家の青年バヤヤ。年老いた父親と暮らしています。
貧しく、わびしい暮らしです。母親は出て行ったようです。
青年は、父をいたわっていますが、
あるとき、白い馬が現れて、呼ぶのです。
母だと告げた白馬は、幸せになりたければ、自分についてくるように言います。
父を残すのは心が痛みますが、言われたとおり、白馬に乗るバヤヤ。

吟遊詩人の姿をし、お城の前で歌います。
バルコニーには美しい三人の姫。
お城で暮らすことになったバヤヤですが、王さまには悩みがありました。
姫が成長したら、おそろしい竜のところへ行かせなければならないのです。

 
イジー・トルンカ。3つめともなると、その独特な雰囲気が少ししんどいかも…。
台詞が白馬の呼ぶ声といったような部分を除き、なかったり、
間の歌で情景を説明したり、雰囲気が暗かったり(「真夏の夜の夢」は楽しいところもありました)。

でも、とにかく、うごきや、その世界観は素晴らしいですね。
布がひるがえるようなさまがとても好きです。
少しずつ動かしているんでしょうか? ほんとに風でなびいているみたい。
騎士のマントや顔を覆う布が、赤くて、ひらめいている感じが、
とても騎士らしくて、うっとりしました。
そう動きは素早くはないので、竜(というより蛇みたいな感じ)
に切りつけるところは、電光石火のごとくではないけれど。

お姫さまは、動きも愛らしく、女性らしくて、素敵です。

さて、その騎士は誰でしょう。
心ひかれる末の姫です。

彼女はバヤヤがくれた花束を投げつけて、ひどい仕打ちをしてしまいますが、
長い耳の道化は、道化として、皆に馬鹿にされていますが、
彼は一番ものがよくわかっているように思えました。