「ゆかいな農場」
マルセル・エーメ 作/さくまゆみこ 訳/
福音館書店



福音館書店の新刊から。

タイトルだけだと忘れていたけど、「訳者あとがき」をみたら、どこかでこの本について見た、と気づきました。

マルセル・エーメはフランスの作家で、「おにごっこ物語」(岩波書店)などが邦訳出ています。

「おにごっこ物語」、どこかでタイトルは知っていたし有名みたい。
読んでみたいと思いました。

「おにごっこ物語」ほか、子どものための作品は、
デルフィーヌとマリネットという少女が出てくる17編の作品で、
この「ゆかいな農場」もデルフィーヌとマリネットと、動物たちが引き起こす事をえがいています。
(重なって訳されている作品もあるのでしょうか?)

また、この本がさくまさんの訳で出たいきさつ。
アメリカでセンダックの絵がついた英語版をみつけたこと。
福音館とセンダック側との交渉が難航し、ついにセンダックの絵はあきらめたこと。

このこと、どこかで見たな、と思っていました。
思い出しました。福音館書店のメールマガジンで読んだのです。
福音館書店のHPに載っていますよ。
センダックって、気難しい人でもあるんですね~…。{/汗/}

で、読んでみると、ゆかいな農場、というわりに、けっこうブラックかも…。
動物たちは、死を身近に感じているところもありますし、いわゆるハッピーエンドにはならない部分も…。
デルフィーヌとマリネットが、動物のみなしごが行くところへ出かけてしまうところは、
どうなるか…と気をもみました。

訳者あとがきで、お父さんとお母さんの人格について書かれていますが、
確かに、お父さん、お母さんはいつも2人セットになってて、同じことを言い、
あまり優しいとは言えませんね…。
さくまさんは、作者が幼い頃に母を亡くし、祖父母にひきとられ、父とも過ごせなかった経験が影響しているのでは…と推測しています。

動物たちが、平気で言葉を話し、少女二人や、
農場のあるじであるお父さん、お母さんとも話します。

最初は不思議でしたけど、
「シャーロットのおくりもの」でファーンが動物たちと話し、交流したような、
親密さもあることはあるけど、けっこうドライ。
おんどりと話をしても、チキンの料理は好きだし、
ブタは丸々と太っているほうが良く、そういう事をあまり動物たちの前でひた隠しにしません。