「こりすのおかあさん」
浜田廣介 作/いもとようこ 絵
金の星社



『ないた赤おに』いもとようこさんの絵本です。

あとがきにあたるところに、廣介の次女であり、浜田廣介記念館名誉館長の浜田留美さんがこう記しています。

「廣介は、大正十年の初めての童話集に「いない母さん」をのせています。
(中略) わたしは、若いころ、この話を読んで、善意の「ひろすけ童話」と違うのにおどろきました。」


『椋鳥の夢』の、「いない母さん」を読んだとき、私自身も、不思議な感じを抱きました。
いうことを聞かない坊やがいて、優しい母さんが言って聞かせてもだめです。
ある朝坊やが起きてみると母さんがいない。
帰ってこない不安はあるけど、はっきり帰ってこないとも書いていなかったような…。
そんな終わり方が、妙に印象に残りました。

のち、廣介がこの話を改作したのが、この「こりすのおかあさん」だそうです。

いもとようこさんの愛らしい絵がついて、かわいい絵本になりました。
どんぐりがたくさんつるしてある中で編み物をする、りすのお母さん。
この絵は、いもとさんの原画展でみたような気もする。

さるせんせいの話をきいて、心配し、緊張しながら急いで家にかえる、こりすの表情がかわいい。