「絵本/物語るイラストレーション」
吉田新一 著
日本エディタースクール出版部



吉田新一さんが、いままで絵本・イラストレーションのことを書いたものを集めた本です。

クラシック絵本の項では、ビリービンのことは出てなかったように思ったけど、(参照:ビリービンの「うるわしのワシリーサ」感想
後の方の項目では、名前、出ていました!
ル・カインの項目で、彼が親近感をもっていた画家たちの中にも名前が見えました。

物語るイラストレーション、というタイトルは?

コールデコットが取り入れたという、
「絵で物語を巧みに説明する方法」(p.16)

の解説が面白かった。
ビアトリクス・ポターも、その系譜を受け継いでいる。

マザー・グースの絵本では、
『バイ・ベイビー・バンティング』コールデコットが元の唄にない絵を付け加えている場面で、
「センダックは、子どもが自分の着ているオーバーが元は生きていたことを知ってショックを受けている場面と解していますが、ショックを受けているのはむしろウサギのほうかもしれません、」(p.136-137)

と書いておられて、また他の解釈もあると書いておられる。

コールデコットのこの絵本は読んでいないんですけど、
この場面は確か、瀬田貞二さんの『幼い子の文学』だったかで見ていて、
私は、センダックのようには感じなかった。
瀬田さんの文章を読みながらだったからかもしれないけど、もっと微笑ましいような、おかしいような。
ウサギがこんにちは、と言っている様子には、
残酷やショックというより、ギャップ。オチのような面白さと思っていた。

でも、センダックはすごいんだなあと、吉田さんの解説から思いました。
『わたしたちもジャックもガイもみんなホームレス』の絵本は、
二つの童謡を融合させているんですって。
それを絵で表現している。
 
 
ポップアップや、フリップを開く、しかけ絵本についての項もあります。
今はやりのサブダとかは出てなかったけど、
いろんな仕掛け絵本がある。

 
アリスの挿絵についての項も、面白かった。
1999年発行なので、今出ていたら、アリスブームでもっとこの項目、興味ひいたかもしれないですね。