ゆきて帰りし道で

映画と、児童文学と、絵本 etc.

他ブログから引っ越してきました。 まだ体裁やリンクが不完全です。内部リンク切れしています。

絵本(日本の絵本)

「からすのパンやさん」
加古里子
偕成社(かこさとし おはなしの ほん(7))



『絵本『からすのパンやさん』のパンをつくろう!』という、パンの本を見かけて、
そういや、『からすのパンやさん』、読んでないなと思っていました。

加古さんの本は、『加古里子 絵本への道』は読んだけど、
絵本そのものは読んだことがないと思う。

『からすのパンやさん』を読んで、まず、お話がけっこう長いと思った。
絵があってかわいいだけではない。
でも、絵もからすの絵がかわいいです。

やっぱり一番印象に残るページは、
たくさんの種類のパン、パン、パン。のページ。
「さざえパン」は、コロネみたいでおいしそう。
「おちょうしパン」というのは笑った。

あとがきを読むと、深いことが書いてあった。
「一人ひとりの人物描写」
について、舞踊団の演技から得たこと。


「こりすのおかあさん」
浜田廣介 作/いもとようこ 絵
金の星社



『ないた赤おに』いもとようこさんの絵本です。

あとがきにあたるところに、廣介の次女であり、浜田廣介記念館名誉館長の浜田留美さんがこう記しています。

「廣介は、大正十年の初めての童話集に「いない母さん」をのせています。
(中略) わたしは、若いころ、この話を読んで、善意の「ひろすけ童話」と違うのにおどろきました。」


『椋鳥の夢』の、「いない母さん」を読んだとき、私自身も、不思議な感じを抱きました。
いうことを聞かない坊やがいて、優しい母さんが言って聞かせてもだめです。
ある朝坊やが起きてみると母さんがいない。
帰ってこない不安はあるけど、はっきり帰ってこないとも書いていなかったような…。
そんな終わり方が、妙に印象に残りました。

のち、廣介がこの話を改作したのが、この「こりすのおかあさん」だそうです。

いもとようこさんの愛らしい絵がついて、かわいい絵本になりました。
どんぐりがたくさんつるしてある中で編み物をする、りすのお母さん。
この絵は、いもとさんの原画展でみたような気もする。

さるせんせいの話をきいて、心配し、緊張しながら急いで家にかえる、こりすの表情がかわいい。

「やまのこどもたち」
石井桃子 文/深沢紅子 絵/
岩波書店(岩波の子どものほん)



石井桃子さんの本、見つけました。

1956年が初版のようなので、かなり昔の子ども時代のお話ですが、
犬のなまえが「じょん」
そういえば、昔はジョンが多かったのかなあ。

きょうだいの中でもまだ小さい、たけちゃんが主人公。
春、夏、秋、冬の季節を過ごします。

なしの木にのぼったら、お父さんが気づかずにはしごを持っていって降りられない。
ん、このようなシチュエーション、他の本で見たことあるぞ。何の本だっけ。
思い出した!
『すえっこOちゃん』だ。
あれも石井桃子さん訳だった。

運動会で、はぐれてしまって、おばあさんをさがすたけちゃん。
その気持ちが伝わってきて、胸にしみます。
時代は変わっても、こういうことは変わりません。

年越しの日には、さかなやさんが来ます。
お正月もそうだろうけど、年越しの日にもご馳走を食べるんですね。

「おまえと おれと どこへ いく?」たけちゃんは ききました。
「らいねんへ。」

というところが好きです。

「ぐりとぐら」
中川李枝子 文/大村百合子 絵/
福音館書店



これは読んでおかなくちゃな~、かな~。{/汗/}
あるきっかけ もあり、やっと読みました。

「ぼくらの なまえは ぐりと ぐら
 このよで いちばん すきなのは
 おりょうりすること たべること
 ぐり ぐら ぐり ぐら」


リズムがいいですね。
絵もカラフルで、青と赤の服もいいし。

あの材料でカステラって、そして、おなべでできるものなの?
私なら、ホットケーキ、と思い浮かぶところだけど、
ホットケーキじゃ、ありきたりかもね。

カステラのこんもりした形と色がおいしそうです。

シンプルなのに、楽しい絵本でした。


(追記1)
福音館書店のサイトで、「ぐりとぐら」のコーナーがあって、
そこに、かすてらの理由が書いていました!!
卵をたくさん使うの、それも大きな卵でないと、みたいなこと…。
ホットケーキじゃなくて「かすてら」じゃないとダメなんですね、この絵本では。
カステラは作ったことがないので実際のところはどうかわからないけれど、
作者の意図するところはわかりました!

福音館書店のサイト、自由にリンクできるといいのですけれど…。ダメみたい。
申請して、しかもトップページじゃないと。。


(追記2)
あっ、と思ったら、読むことになったあるきっかけ、と言っていたところに、
上記の、ホットケーキじゃなくてカステラ、に関することが載っているじゃありませんか!

それは、朝日新聞2010年1月6日社会面の「探嗅」という記事の5、です。
「ぐりとぐら」が取り上げられ、
神奈川の「ののはな文京保育園」で、園児たちがあの「かすてら」を作る。
園長先生が、以前から取り組んでいた「物語メニュー」を作る一環だ。
園長先生は、最近、こどもの嗅覚をあらわす言葉が気になっているという。
何でも「くさい」というのだ。
いろんな臭いがあるのに、その表現の言葉がでない。
「もっと自然のにおいを体験させないと」
と園長先生。

中川さんが「ぐりとぐら」を書いたとき、中川さんは保母だったそうだ。
当時、園長先生がホットケーキを焼いた。
そこから「ぐりとぐら」の発想がでたのだろう。
ホットケーキより「かすてら」、の理由が、中川さんの中にあった。

記事はこう、しめくくる。
「子どもを、あらゆるにおいが取り巻いていた時代。書き上げたのが、「ぐりとぐら」だった」
と。

におい、かすてらだけじゃなくて、周りの自然の。
そういう視点で読み直してみるのも面白いな~。


「ありこのおつかい」
石井桃子 作/中川宗弥 絵/
福音館書店



続いて石井桃子さんです。

これは面白かった!

これから、かまきりを見たら、「きりお」という名を思い出してしまいそう。

ありこがのみこまれるところは、一瞬ぎょっとしたけど、
丸い円の絵がおもしろいのと、
次々とたべられていく、繰り返しの楽しさがある。

また、
「いやだあ、いやだあ。あやまったのに たべるなんて――ばかあ!」

の言い方がおかしい。
むくすけの、
「わるものお!」
はインパクトありますねえ。

くまきちのおかあさんは、よくできた人(くま)です。。

↑このページのトップヘ