ゆきて帰りし道で

映画と、児童文学と、絵本 etc.

他ブログから引っ越してきました。 まだ体裁やリンクが不完全です。内部リンク切れしています。

本(その他)

雑誌「母の友」2009年11月号(678号)
福音館書店

特集「瀬田貞二の のこしたもの」



福音館書店の「母の友」という雑誌に、
瀬田貞二さんの特集があると知り、
まだ特集のところだけですが、読みました。
(背表紙と表紙は「瀬田貞二の のこしたもの」となっていますが、
目次と本文では「瀬田貞二が 遺したもの」になっています。)


ページ数はそう多くはないのですが、
まず瀬田さんのお写真があって、あまりお写真は拝見したことがないし、
瀬田さんの特集を読めるということが嬉しかったです。

雑誌はまだ出たばかりですから、詳しい内容は読んでいただくことにして、
その人生を追った歩みのページと、
林明子さん、斎藤惇夫さん、中村柾子さんの鼎談(三人で話すことをこう言うんですね~)、の2つがありました。

中村柾子さんは、私は存じ上げなかった。保育者としての視点を持っていらっしゃる。
斎藤さんは、瀬田さんを語るにこの人、という感じを持っています。
林さんは、私のような日本の絵本の門外漢でもお名前だけは存じ上げている絵本作家。瀬田さんとかかわりがお有りだったんですね。
それどころか、瀬田さんの最後の(?)仕事の、『きょうはなんのひ?』の絵の担当が林さんなんですね。

瀬田さんは多くのことに知識や造詣が深かったとのこと。
『2001年宇宙の旅』の映画はつまらないとおっしゃったところ、林さんに負かされたそうですよ。

今度福音館書店から出た、『瀬田貞二子どもの本評論集 児童文学論』にはディズニー評も載っているそうですが、もしこの本を読む事があったら、そこも読んでみたいものです。
確か、『絵本論』だったか、瀬田さんはディズニー(の映画そのものではなくて、その画面を元にした)絵本について、批判をしていたように記憶しているのですが(今、記憶だけで書いています)、
まさにその通りだとしても、自分の家にはあまり絵本はなく、選ぶことすらできないし、中にディズニー絵本が1冊あったことを覚えている。(ディズニー絵本は他と比べて高価だったのではないだろうか?) それなりにウキウキして持っていたものだ。
そんな記憶の中で、ディズニー絵本を責められることは、気分のよくないことだった。

そして、この対談の中で、中村さんが、瀬田さんは
「新しいものに対しても貪欲」(p.28)
で、
「ディズニー映画なんかもちゃんと見て論じていた。」(同)
と言っておられることに興味を覚えた。

また、「瀬田節」として、3つほど、瀬田さんの言葉が挙げられているのだが、
『ホビットの冒険』あとがきで、ファンタジーについて語っているところ。
そこを読んで、『ホビットの冒険』あとがきを読み返してみた

うーん…。すごい。なんと『ホビットの冒険』の世界、トールキンの世界を言いあて、表現していることだろう。
「伝承の宝ぐら」(p.271)

にもかかわらず、ホビットの世界は血のかよった人間的な暖かさを持つ。平凡なホビットが、冒険を経て最後には品格を、詩人としての品格を持つ。
うまくまとめられないけれど、あとがきだけでももう一度この物語を読みたくなった。

そして、あとがきのあとで、斎藤さんの言葉も載っていたが、瀬田さんの脳裏にあった、「最後の天狗」の物語。
斎藤さんは、今回の鼎談の中で、それを書いてみたいと思っていらっしゃるようでした。
お書きになったら、ぜひ、読んでみたいものです。

雑誌「月刊MOE」 2009年9月号(No.359)
白泉社

特集「「ちいさいおうち」とアメリカ黄金期の絵本」



「ヴァージニア・リー・バートン生誕100周年記念」
ということで、特集です!

絵本『ちいさいおうち』や、
作者バージニア・リー・バートンが暮らした村のことがきれいな写真で載っている、
魅力ある特集でした。

『ヴァージニア・リー・バートン 『ちいさいおうち』の作者の素顔』
の訳者、宮城正枝さんの文も載っていました。
バートンの描くおうちや、スチームショベルたちはみんな女性。
そういうことについても、書かれていました。
えっ、『名馬キャリコ』のキャリコも女の子だったのか…。それは知りませんでした。
(読んでたときは彼女、ってでてたのかもしれないけど、もう忘れてます…。)

『ちいさいおうち』にえがかれた、「her story」という言葉の持つ意味。
考えさせられますね。

バートンが活動した、デザインの「フォリーコーブ・デザイナーズ」のことが載っていたのが良かったです。

バートンの本の紹介のリストでは、『Song of Robin Hood』が載っていたのが嬉しい。
原書、「品切れ」って書いていました。
日本で邦訳されないかなあ…。
これ、バートンがイラストを描いているんですけど、絵がとても緻密で。(『ヴァージニア・リー・バートン 『ちいさいおうち』の作者の素顔』の本で知りました)

その他、バートンのほかに、アメリカ絵本の黄金期を支えた人たちの絵本が載っています。
お、マックロスキーもそうなんですね。

またこちらも参考に読んでみたいです。
この特集見ているだけでも楽しいです。



(追記)
(関連記事:メアリー・ブレア:
「視点・論点」 アーサー・ビナード ”ふしぎの国のアリス”の不思議



雑誌「旅」2008年11月号(No.978)
新潮社

特集「物語を超えたロマンティック世界 プリンスエドワード島で、アンになる旅。」



図書館で、「アン」って書いてあるのを見つけました。
はじめて読んだ雑誌です。

写真がとてもきれい。
旅の雑誌らしく、プリンスエドワード島での宿泊施設の情報もあり。
キルトやスイーツ、文化のページもありました。
「住民の7割がケルトのルーツを持つ」(p.54)
そうです。

やはり、「グリーン・ゲイブルズ」を「再現」したお家が興味。
<パフスリーブのドレス>も飾られています。

また、モンゴメリの足跡、生家や下宿先の紹介のページ。
途中で人手に渡ったりしても、時代考証をしたり、雑貨もアンティークをそろえたり、管理している人たちの思いが伝わります。

あちらのお家って、ほんときれいですね。
キルトや雑貨、みているだけでも楽しい。

雑誌「ミセス」2008年3月号(No.638)
文化出版局

特集「石井桃子の宇宙」



以前、「ミセス2007年9月号、イギリス湖水地方」 を読みましたが、
その前から読みたかった、この石井桃子さん特集の号。
やっと読むことができました。(特集以外のところは読んでません。。)

最初に、石井さんの字で

「本は一生の友だち」という言葉が載っています。

「本は友だち。一生の友だち。
 子ども時代に友だちになる本、
 そして大人になって友だちになる本。
 本の友だちは一生その人と共にある。
 こうして生涯 話しあえる本と
 出あえた人は、仕あわせである。
             石井桃子」
(p.218)


まさに、子どもの本に生涯をささげた、石井さんならではの言葉ですね。

『プー横丁』や、『ノンちゃん雲に乗る』の、古い版の本の写真などが、カラーで載っていたのは嬉しい。
(私の読んだ『ノンちゃん雲に乗る』は、水色の表紙で、それ以前に賞をもらっているはずだけど、それがどんな版かわからなかった。)

『白い象の秘密』 エラリイ・クイーン。へえ、こんな本もあるんだな。
『ティモジーの靴』 ユウイング
あっ、ユウイングって、児童文学の歴史の中なんかにでてくるユーイング夫人のことだろうか?

江國香織さん、朝倉摂さん、金井美恵子さん、中川李枝子さんが、言葉を寄せています。
江國さんが、
「むしろ、石井さんが日本語に訳した「うさこちゃん」が読めない(中略)他の国の子どもたちはかわいそう、とさえ思ってしまうくらい。」(p.222)
に、石井さんがかかわった本に触れた日本のこどもたちは幸せ、と書いていました。

んー…。子ども時代に、そんなにたくさん、石井さんのも、他の人の訳の本もじっくり読んだことがないので…。

中川さんの文章中にでてきた石井さんの言葉、
「つまらない本を読まされる子どもはかわいそう」(p.228)


グサっ。
んー…。ま、幼い頃はともかく、もう少し大きくなってもたくさん読書しなかったのはもったいなかったと思うけど…。

 

石井さんの開いた「かつら文庫」の写真もいくつか。

また、カナダ・トロントでの写真が気になります。
後ろに書架があるのは、これが、「オズボーン・コレクション」なのかな?
書架に書いてある文字、「LOFTING」 「MACDONALD」…。
わー、本がたくさん。
1979年、そんな昔に訪れておられたのだなあ…。

「知っておいてほしい石井桃子の本」のリスト。
まだまだ読んでいない本がたくさん。
読んだ本、載ってなかったりする…。
ま、マイナー本からせめていくのも、面白いですね。


(追記)
「一九七九年、カナダ、トロントの「オズボーン・コレクション」を訪ねる。」(p.227)
とあったので、そう思ったのだけど、
書架のある部屋の写真、これは、たぶん、コレクションのある、トロント公共図書館の「少年少女の家」の書架ではないかと思う。
(オズボーン・コレクション室での写真も、別に載っている。)


(追記)
上記追記に関しては、後日読んだ『児童文学の旅』を参照。

雑誌「ミセス」2007年9月号(No.632)
文化出版局

イギリス特集「イギリス湖水地方」



2008年3月号に石井桃子さんの特集*があることを知って、
読みたいと思っていました。でも貸し出し中で。
そうしているうちに、石井さんがお亡くなりになったことを知って…。
驚きました。

3月号は貸し出し中でまだ読めていないのですけれど、
このイギリス湖水地方特集の載っている2007年9月号もねらっていたのが返却されていたので、借りてきました。
湖水地方というから、「ピーターラビット」のビアトリクス・ポターのことが載っていると思って。

スタイリストの伊藤まさこさんというかたと、お母様と娘さんの旅を追っています。
伊藤さんは存じ上げなかったし、ご家族の様子や、湖水地方のお店やロッジの紹介など旅的な部分は、私の期待とすこしずれていたかも。

ナショナル・トラストのスタッフのお仕事のところは
テレビ「おはよう日本」でみたナショナル・トラストのこと、思い出しました。
石垣の修復はセメントを使わない。
また、「ヘイメドウ」という牧草地を保護するために、小さな枠とルーペを使って植物の数を数えて記録するという作業もあるそうだ。

ナショナル・トラストが管理しているという、「ビアトリクス・ポター・ギャラリー」
原画などがある。
日の光で紙が劣化しないように薄暗く管理されている。
「気づくのは、現在出版されている絵本と印象が変わらないこと。印刷へのこだわりは映画でも紹介される。」

「ミス・ポター」の映画、確かに印刷にこだわっている場面ありましたね~。


*(追記)
「ミセス2008年3月号 特集 石井桃子の宇宙」読みました。

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