ゆきて帰りし道で

映画と、児童文学と、絵本 etc.

他ブログから引っ越してきました。 まだ体裁やリンクが不完全です。内部リンク切れしています。

本(未分類)

「マデックの罠」
ロブ・ホワイト 作/宮下嶺夫 訳
評論社



ミステリーです。
1973年、エドガー・アラン・ポー賞受賞作品とのこと。

復刊されてて、いいっていう評をきいて、読んでみました。

砂漠のことに詳しい、学生のベン。
マデックという都会の実業家の、ビッグホーン(オオツノヒツジ)の狩りのガイドとして、雇われます。
ところが…。

ミステリだから、あんまり言わないでおきますね。
でも、このマデックという男がどんなに信頼できない冷酷な人間か、
いや、冷酷でさえあるのか、どういう意図があって、こんな仕打ちに出るのか、
信じられない思いです。

危うし、ベン。もう絶体絶命…。
うーん、でも考えさせられるのは、身の危険もあるけど、
人の心のうつりやすさよ…。

砂漠に立つ、長い時を経て地形の侵食によってあらわれたビュートという岩みたいなものの構造が、
読んでてもかなりわかりにくかった。

「ドーム郡ものがたり」(ドーム郡シリーズ1)
芝田勝茂 作/佐竹美保 絵/
小峰書店



この本は、映画「ロード・オブ・ザ・リング」に凝ってた時、知りました。

その時か、その後だったか、復刊されたことを知り、
そのうちに図書館にもあるなあと思ってて、やっと読んでみました。
まだ1巻目ですけれど…。

ドーム郡
不思議な名前の土地だなと、思います。

読みはじめて思ったのは、自分の勝手な想像ですが、
この作者のかた、「指輪物語」が好きなのじゃないか、
影響を受けているのではないか、ということです。

それは、この本が、ある本を訳した、という体裁になっていることで、
注も、「訳注」という体裁で書かれていたりすること。
また、内容も一人の少女がある試練のために旅をする内容であること。

その世界観は、読んでてまだちょっと準世界の創造としては、深さが足りないかな…という気がしました。
(まだ1巻ですけれどね。)

光るところがあると思う。
山賊に自分がうそつきではないかと、思わされるくだり。
うそをついた少女に、「先生」として守るためにしたこと。

でも、この本の流れの中、いろんなことが
少女クミルの台詞や、心の思いでどんどん説明されてしまっているところが惜しい気がする。

最大の試練も、気づいたらもう、その夜のうちに果たさねばなりませんでした。
でも、「かかし」とはいったい誰…? その秘密が気になります。
そこが、おっ…?と思わされ、次の巻も読みたいと思います。

余談ですが、オッテさんはクミルのこと、好きなんじゃないんでしょうか?

佐竹さんの絵で、クミルが踊っているところが好きです。

「ゆびぬき小路の秘密」
小風さち 作/小野かおる 画
福音館書店



タイム・ファンタジーの佳編、見つけました!

これ、日本の人の作品なんですけど、
(日本の風土の中でもタイム・ファンタジーはもちろん書けるとは思います。でも)
話の舞台が日本でなく外国(イギリス)で、まるでイギリスのタイム・ファンタジーを読んでるみたいに楽しみました。

とても読みごたえのある分厚さと内容で、
何度も「ここはどういうことだったっけ…?」と読み返したりしながら進みました。

5つのボタンが、どこでどうなったか、わからなくなってきたり、相当、複雑。
よくこんな話の筋を考えついたなあ…と感心します。

ゆびぬき小路の古着屋さんの主人が「マダム・ダンカルフ」
って、なんかガンダルフに名前が似てるな、とか考えたり。
古い言い伝えの言葉…詩のような言葉も興味を引きます。

ロビン・フッドの物語なんかも、
はっきりこうと出てるわけではないけど、どこか絡みながら、話がすすむ。

物語の焦点はボタンと、ボタンの秘密であって、森の住人ではない。
でも、この話の色を言えと言われたら、やはり、かな。
そうして、考えてみると、ロビンの、ノッティンガムの森が広大だったころ…、その森と緑が、あちこちに見え隠れする。
ロビンのような義賊か、リンカーン・グリーンうぐいす緑の服を着た賊(p.244)か、
「緑のケンダル織りの服を着て」(p.365)
狩にでた人たちかもしれない、その姿は…。
長い時代の中、存在していた人たち。そして、まぼろしのいきもの。
 
そして、今、気づきました。
バートラムは、
「緑の指を持っている」(p.102)
と。
(『みどりのゆび』って、本もあります。みどりのゆびとは植物に対して特別な才能を持ってる人、っていうような意味だったと思うんだけど。)
そして、みどりのゆびを持ってるだけじゃなく、
「足の裏に根っこが生えてる」(同p.102)
んですって、バートラムは。グレッグが言っていました。

ここらあたりもなんか、バートラムと緑をつなげる秘密がありそう。
仕立て屋や「ボタン」と、バートラムは出あうべくして出あったのでしょう。
 
 
登場人物の中で、もちろん、主人公のバートラム仕立屋ロザムンド・ウェブスターの印象は強いけれど、
妙に心に残るのは、エイドリアン

エイドリアンが、はしごの上でみた、靴の先がわれた男はいったい誰…?
エイドリアン自身なのか、どうしてエイドリアンはあのあと、はしごも置いて、ホームレスの身になってしまったのか…。

教会でバートラムが見たのは夢? 
バートラム自身が過去の時代を過ごし、彼がエイドリアン自身ではないのか? なんてことも考えました。
でも、エイドリアンのみじめな生活は長かった。
その中には一言で言えぬ思いがあったはずで、まだ少年のバートラムが背負うのには大きすぎる。

自分を待っていたバートラムが、時間の中から抜け出た。
でも、考えたら、これ、ずっとぐるぐるまわってたかもしれない、って思ったら…。ちょっと考えたくないですね。

ひとつ、不思議に思ったこと。
少女だったロザムンドが、見えないはずのバートラムに向かって
「どいて!」(p.228)
と言ったのは…?



参考:タイムものの記事
『思い出のマーニー』


参考:HPの『ロビン・フッドのゆかいな冒険』の感想

「いやいやえん」
中川李枝子 作/大村百合子 絵/
子どもの本研究会 編集/
福音館書店



中川・大村姉妹の有名な本。
やっと読みました。

ひとつ前に、大村(山脇)さんの訳・絵の「きつねのルナール」
を読んだし、
これも読みたくなりました。

「いやいやえん」の「えん」、って、保育園の園、「イヤイヤ」園、っていうことなんですね。
私はずっとそんな風に思ってなかった。
どこか、何か意味のない言葉、言葉あそびのような、そんな感じでとらえてた。
今回読んだときはわかってたけど。

で、読んでみたら、「いやいや園」のお話は、一番最後で、
ほかのお話もはいってます。
ちゅーりっぷほいくえんの、ほしぐみばらぐみの子どもたち。
とくに、しげるくんを中心に描いています。

せんせいもいますが、中心は子どもたち。
山へのぼるのも、おおかみとやりあうのも、子どもたち。
想像の世界がふくらみます。

んー…ちょっと気になるのは、
女の子は女の子らしすぎるような気も…。
くじらには花わをつくってあげるし、
こわがって隠れるときは、女の子たちはオルガンのかげへ。
(男の子もドキドキしてるけど、壁際へひっつく。)

こぐちゃんがかわいかった。

いやいやえんにいる、こどもたちは、
毎日来てるのかな。
しげるくんは一日だけだけど。





「ゆかいな農場」
マルセル・エーメ 作/さくまゆみこ 訳/
福音館書店



福音館書店の新刊から。

タイトルだけだと忘れていたけど、「訳者あとがき」をみたら、どこかでこの本について見た、と気づきました。

マルセル・エーメはフランスの作家で、「おにごっこ物語」(岩波書店)などが邦訳出ています。

「おにごっこ物語」、どこかでタイトルは知っていたし有名みたい。
読んでみたいと思いました。

「おにごっこ物語」ほか、子どものための作品は、
デルフィーヌとマリネットという少女が出てくる17編の作品で、
この「ゆかいな農場」もデルフィーヌとマリネットと、動物たちが引き起こす事をえがいています。
(重なって訳されている作品もあるのでしょうか?)

また、この本がさくまさんの訳で出たいきさつ。
アメリカでセンダックの絵がついた英語版をみつけたこと。
福音館とセンダック側との交渉が難航し、ついにセンダックの絵はあきらめたこと。

このこと、どこかで見たな、と思っていました。
思い出しました。福音館書店のメールマガジンで読んだのです。
福音館書店のHPに載っていますよ。
センダックって、気難しい人でもあるんですね~…。{/汗/}

で、読んでみると、ゆかいな農場、というわりに、けっこうブラックかも…。
動物たちは、死を身近に感じているところもありますし、いわゆるハッピーエンドにはならない部分も…。
デルフィーヌとマリネットが、動物のみなしごが行くところへ出かけてしまうところは、
どうなるか…と気をもみました。

訳者あとがきで、お父さんとお母さんの人格について書かれていますが、
確かに、お父さん、お母さんはいつも2人セットになってて、同じことを言い、
あまり優しいとは言えませんね…。
さくまさんは、作者が幼い頃に母を亡くし、祖父母にひきとられ、父とも過ごせなかった経験が影響しているのでは…と推測しています。

動物たちが、平気で言葉を話し、少女二人や、
農場のあるじであるお父さん、お母さんとも話します。

最初は不思議でしたけど、
「シャーロットのおくりもの」でファーンが動物たちと話し、交流したような、
親密さもあることはあるけど、けっこうドライ。
おんどりと話をしても、チキンの料理は好きだし、
ブタは丸々と太っているほうが良く、そういう事をあまり動物たちの前でひた隠しにしません。


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