ゆきて帰りし道で

映画と、児童文学と、絵本 etc.

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絵本(リー・バートン)

「ビュンビュンきしゃをぬく」
アーナ・ボンタン&ジャック・コンロイ 文/
バージニア・リー・バートン 絵/
ふしみ みさを 訳
岩波書店



図書館でみつけて、あれっと思った。
『ヴァージニア・リー・バートン 『ちいさいおうち』の作者の素顔』を読んでいたとき、中に紹介されていた絵本だ。

そこでは、「とびきり速い犬スーナー」というタイトルで紹介されていたと思う。
(原題は、「THE FAST SOONER HOUND」)。

バートンは、ボンタン(ボンターン)の「悲しい顔の少年」だったかなあ、
そういうタイトルの本の、挿絵を描いて、
また、この「とびきり速い犬スーナー」の絵を描いたけれど、
「悲しい顔の少年」もたぶん訳されてないと思ったし、
「とびきり速い犬スーナー」も、訳されていると思ってなかった。あったんだ。

『ヴァージニア・リー・バートン 『ちいさいおうち』の作者の素顔』の中では、
バートンは、絵を描くスペースが少ないのに困って、
もう人の作品に絵は描きたくないと言った、というようなことが描いてあった。
(でも著者のバーバラ・エルマンはこの絵本の絵は褒めていた)

うーん、そういわれてみると、文章がかなり長いお話だ。

「ビュンビュン」というのが、原文ではスーナーなんだろうか。
男の人は「ゴウゴウ」だけど、原文はなんだっけ。
(『ヴァージニア・リー・バートン 『ちいさいおうち』の作者の素顔』の中で、書かれていたように思うのだが…。)
すると「ビュンビュン」じゃなくて「スーナー」でも良かったように感じるけど。

でもそれは、『ヴァージニア・リー・バートン 『ちいさいおうち』の作者の素顔』を読んだからそう思うんだろう。
またSOONから来ているのかな、と想像できる大人だから。
(でもsoonの「はやい」って、「早い」のほう? fast も「はやい」と思うけど FAST SOONER でどういう意味だろう。)

岩波書店は、『ちいさいおうち』日本語版50周年の記念で、
『ヴァージニア・リー・バートン 『ちいさいおうち』の作者の素顔』を訳して、
だからその関係で、これや、次に紹介する『はだかの王さま』も訳したのだろうか。
(だったら、ぜひ『ロビンフッドの歌』も翻訳出してー。)

「ちいさいおうち」
バージニア・リー・バートン 文・絵/石井桃子 訳
岩波書店(岩波の子どもの本)



バートンの『ちいさいおうち』、読みました。
こんなにちいさな絵本だったんだ。

『ヴァージニア・リー・バートン 『ちいさいおうち』の作者の素顔』を読んだとき、バートンの絵本で最も完成度の高い、というように評されていたように思う。
原著は1942年。いままでずっと読み告がれているし、名作なのですね。

笑っているようにみえる、ちいさいおうち。
まどが壊れているところは、おびえているような、悲しい顔にみえます。

時の変遷と、町並みの変化の表現。
同じ場所の時の移り変わりを見る方法は、『せいめいのれきし』でもありました。
楕円や曲線の繰り返しの絵の表現。
まるい曲線の、田舎の丘の表現の中に走る直線の道路のことなどは、『ヴァージニア・リー・バートン 『ちいさいおうち』の作者の素顔』にも書かれていました。

喜んでいるおうちの絵は、なんだか気持ちがほっかほかになるような色合いですね。
「ブランコの木」がありましたよ。



(追記)
(関連記事:「わが家のミカタ 最終回」

「せいめいのれきし」
バージニア・リー・バートン 文・絵/いしいももこ 訳
岩波書店



「名馬キャリコ」のリー・バートンです。
副題、というか表紙の下のところに
「地球上にせいめいがうまれたときからいままでのおはなし」
とあります。

「名馬キャリコ」は白黒だったけど、これはぜんぜん違いました。(でも、がにまたというかO脚の足は、「名馬キャリコ」で見た形だなぁ。)
舞台の幕の中に宇宙が入っちゃうんですから。

真っ赤に燃えた地球やらマグマみたいなのやら、鮮やかです。
いや鮮やかというよりも暗い赤で、混沌ムードで、冷えてきた地表なんか、暗い世界でこわいです。

日本語版をつくるのはたいへんだったでしょうね。
絵の中にある言葉、日本語で書き直して、特に表紙裏の年表など。
(背表紙の書き文字は、走り書きふうすぎるような気がするんですけど…)

古代生物のでてくるところは、わたしには難しくて、さっと読んだくらいだけど。
(でもこれを読んだ後で「タコって、何類?」という話題が出たとき、最近聞いたぞと思った。あの絵本にあったぞ。「頭足類」って。)

「エオヒッパス」という「四ほんゆびのちいさなうま」、かわいいです。こんなのがいたんだ。

古代からアメリカ大陸にうつった場面。
場面がうつるんだし、前のページの背景は海だし。
ここに恐竜がいた場所とは違うんだろうけど。
後ろの山三つ、古代の背景と一緒ですよね。

このアメリカの場面から後ろは、ずっと同じ場所の移り変わりを見ているのかな。
「うり地」になってしまうところは、一抹の寂しさ。
そこから後は、一家の生活を追う。

庭の左のほうに天使の像みたいなのがありますよね?
気づいたあとで、さかのぼってみたら、「5まく1ば」で出てきてて、2ばと3ばでは、見えない。

気づいたのは、6ばで西の山に日がしずみ、
7ばでぐるっと視点が回転して、左のほうから庭を見ているんだと思ったから。
そのとき、像は視点のほうに近くある。
(東西南北考えたら、わからなくなってきた。日が西に沈むからあっちが西だと思うけど、
7ばの北極星というのは?)
像のようなものがある?と思ったとき、羽があるような気がして。前の場面をたどってみた。
あの像が書かれているのはどういうような意味があるのでしょう。

「名馬キャリコ」
バージニア・リー・バートン 絵・文/せたていじ 訳
岩波書店(岩波の子どもの本)



せたていじさんの訳の絵本といえば『よあけ』?(って、まだよんでない)※
と思いながら、こんなのがあったので、読んでみました。

西部劇ふうみたいだし、
バージニア・リー・バートンという人も有名みたいだけど読んだことがなかったし、どんなかなと思った。

白黒の、版画みたいな絵で、1ページに2枚の絵とか(見開きに4枚)、コマ割りふうになっている。
なかなか面白かった。

せたさんの言葉も、楽しみました。
あっかんたちの名前も、「ばらしやボーンズ」「へびの目パイゾン」「はげたかベイツ」「ちびスカンクのスキーター」、と面白い。語呂もあっているし。
あっかんたちの親玉は、「すごみやスチンカー」。5人の中でやはり一番印象が強い。
(原語では、「STEWY STINKER」。STEWYとかSTEWとかで調べてみたけど、すごみやとかいう意味ではでてなかったみたい。)
スチンカーの馬は、「どろずみ」

ぎょっ! とするまも,あっ! というまもあらばこそ,まばたきするまに,川をわたり,はらをこえて・・・・・・
(p.19)

すごみやスチンカーが馬車をかって,せまい山ざかを,首もおれよと,とばしました。
(p.39)

なんて、瀬田さんらしい言葉づかい、と思いました。「あらばこそ」「首もおれよと」のところなんか特に…。

なだれかかる洪水のあしは,はやせまり,水かさは,こくいっこくにますばかり。いそげや,いそげ!
(p.51)

の文章が気に入りました。
なんかこういうの感じ、講談とか浪曲とかいうのかな?ああいうのと似てる気がする。
聞いてて耳に心地よいというか…。

あっかんたちが素直に学校へはいっていくのに、すごみやスチンカーだけはそっとぬけだす、その気持ち。
最初はわるだくみするのかな?と思ったけど、そうじゃなかった。
そっと窓から中をうかがう、すごみやスチンカー。その気持ち、せつないね。
泣いた顔はなんか変だけど。。なんで黒くて線がいっぱいはいってるの? 月夜だから逆光のせい? 版画(?)のためにそういうタッチになるのか?

ひとつわからないのは、「がにまたビル」がスチンカーをきしゃのおもちゃであそぼうとさそったとあるけど、
絵をみると、がにまたビルは、おっての一隊と一緒に帰ってきているように見えるんだけど。

※(追記)
「よあけ」よみました

(追記2)
(関連記述:「ヴァージニア・リー・バートン 『ちいさいおうち』の作者の素顔」

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