「にぐるま ひいて」
ドナルド・ホール 文/バーバラ・クーニー 絵/もきかずこ 訳
ほるぷ出版



バーバラ・クーニーの絵本の中でも、よく名前を聞く本ですね。
はじめて読みました。

訴えかけるものはまた違うけれど、『満月をまって』に通じるものがあるな…と思ったら、
あれもクーニーの絵の絵本でしたね。(港の船の絵もあったような気がする)

一年を通しての暮らし、手仕事や手作りを重ねる生活、それらを売りに出かける待ちわびた感覚とリズム。

『満月をまって』はもっと深刻な問題を持っていましたが、
こちらは、穏やかな家族の日々を、読んでいるこちらも満足しながら味わえるような気がします。
和やかそうに見えても、おそらく現実的に見ると、つらいところもある暮らしかもしれませんが…。

とうさんが街へにぐるまをひいていく場面、街から帰ってくる場面は、
ずっと横長の絵で道が続き、横からワイドに眺める感じで、道のりと、てくてく感がでている。
ほろ馬車まで売ってしまうんですねー。まったく無駄がない。
(そして、とうさんはまた、次のにぐるまを作るのです。)

素朴な暮らし。
絵本を読んでいると憧れるし、大切なことだと思わされる。

でも同時に、大人のとうさんとかあさんはともかく、
むすことむすめの仕事の役割(ほうきづくりやナイフでものづくり、女の子はあみものやししゅう)が気になる…。
19世紀はじめという時代や、自然に根ざした生活ということなので、あたりまえなのでしょうが…。

幌馬車に荷物を積み込むときの、幌馬車をまうしろから描いている絵が印象的。
ほろを通して空が見える。

後ろに、作者の写真がのってて、クーニーさんてかわいらしい感じの人だな{/複数ハート/}、って思いました。