「ヒルズ・エンド」
アイバン・サウスオール 作/小野章 訳
評論社
とても良かったです!
劇団四季のこどもミュージカル「嵐の中の子どもたち」の、原案のひとつです。
(次の記事に、「嵐の中の子どもたち」を挙げます。)
もうひとつの原案は、ヘンリー・フィンターフェルトの「子どもだけの町」で、そちらは読みました。
「ヒルズ・エンド」も原案のひとつと知り、よけいに読みたくなりましたが、足が遠のいていました…。
今回、TVで「嵐の中の子どもたち」が放映されると知り、読もうと思い立ちました。
読み応えありました!
登場人物の書き分けというか、それぞれの性格、心理描写がいいです。
ゴッドウイン先生の孤独と、同情への嫌悪と恐怖も理解できます。
兄思いのグッシー、実際家のメージー。
活力いっぱいのちびのハーベイ。
太って、すこしのろいブッチ。でもブッチ、すごい。かっこいい~~{/!!/}と思ってしまう場面もありました。
話も、すごい大嵐がおそってきて、どうなるのだろう…と思わされます。
でも、本当の戦いは、嵐が去ってから。
すべてが、ほんとうに村のほとんどすべてが破壊されつくされた。
その中に帰ってきて、さまざまな困難に立ち向かわねばなりません。
危険な牡牛の問題、ゴッドウイン先生を探すこと、ブッチが見つかった。
いろんな事が押し寄せる中、ポールは何とかしなければならない自分に、幼かった日への別れを感じたこと。
フランセスは、張り詰めた緊張が爆発してすごい悲鳴をあげたこと。
共感できます。
一番好きなのはアドリアンかな。
空想家で、感情の起伏のあるアドリアン。
彼は二つに引き裂かれている。火花の散るような幸福と、みじめさと。
食べ物はあれだけとるだけで大丈夫なのか、とか。
蜂蜜と汚れでべとべとなのに、レモネードで手を洗うだけでなんとかいけるのか、とか。
ばい菌だらけのひき肉は、消毒液をまくだけで大丈夫なのか、とか。
現実だったら、もっと大変だろうと思うところはある。
でも、ともかく、読み応えのある作品でした。とても好きです。おすすめです。