ゆきて帰りし道で

映画と、児童文学と、絵本 etc.

他ブログから引っ越してきました。 まだ体裁やリンクが不完全です。内部リンク切れしています。

アイルランド

 「リヤ王と白鳥になった子どもたち」
シーラ・マックギル=キャラハン 文/ガナディ・スピリン 絵/
もりおか みち 訳
冨山房インターナショナル



広告で知った絵本。
アイルランド伝説を基にしているということで興味を持ちました。

伝説そのままじゃなくて、着想を得たと、作者あとがきにあります。
リヤ王って、リア王と響きが似ているなと思ったら、
リヤは
「古代アイルランド神話の海の神」
で、
「シェイクスピアの『リア王』に結実するその原型」
とありました。

白鳥にされた王子のお話って、ありましたよね…?
グリム?アンデルセン…?
(参考:HPの『アンデルセン童話全集1』の感想

こちらの絵本は、王子と王女2人ずつの四人なんですが、
絵がとてもきれいな絵本です。

くじら、ジャスコニアスの背の上にいる四人、とっても素敵です。
さいご、すっかり成長した王子の絵は、なんというかミケランジェロの絵(って詳しくないですが…)
を思い起こさせる横顔の、たくましい姿。
(絵自体はきれいだけど、ひげ面がいかついから、もうちょっと若いときの絵が好き。。)
 

ん…こんなこと言ってはいけないかもしれないけど、
まま母のイーファは魔女でわるいけど、
ねがっても子どもができなかった、ってあって、
ちょっとかわいそうになった…。
王子・王女を見てると心が騒ぐ気持ちは、わかる…。

心が醜かったり、王子たちにあたるのはダメだけど、
そんな気持ち、王様は理解してあげたのかな?

 
ひとつ思ったのは、
白鳥にされた四人に、イーファが言います。
「この世でいちばんうつくしい歌声」
をおくるって。
その声をきいたものは、ひとりじめしたくなり、おいかけてくるって。

白鳥の声に魅せられる、っていうこと、前にどこかで聞いたことがあるような。

マルセル・エーメの「ゆかいな農場」でも、白鳥の声をきいたお父さんとお母さんの場面…どんなだったか…あったような。

白鳥の声、ということで、何かそういう伝わっていることってあるのかな?



雑誌「旅」2009年11月号(No.988)
新潮社

特集「ダブリンから南へ北へ、アイルランド美しき旅。」



インフルエンザ後でして、簡単にまとめましょう。
 

アイルランド特集ということで、特集のところを読みました。

トリニティ・カレッジの旧図書館のロング・ルーム
本・本・本で天井までびっしりつまった本。
すばらしい眺めですね。

パブ、ニット、グルメ。
旅の見所のきれいな写真がたくさん。

世界遺産のジャイアンツ・コーズウェイの六角形の石の道は不思議。
そこを通るトレッキングコースもあるそうで。

鶴岡真弓さんの、ケルト文化のページが興味深かったです。

「アイルランド人の修道士たちが持つエグザイル(流浪)の精神」(p.075)


エグザイルって、流浪という意味だったんだーと思いました。{/ひらめき/}

鶴岡さんはいいます。多くのアメリカ人はアイルランド人を祖先としている。
アイルランド人は飢饉のために祖国を出たと言われている。
「しかしかつて修道士たちがそうであったように、ケルトの末裔である彼らには「積極的自己追放」のスピリットがあったと私は考えています。」(p.075)

と。

なるほど…。
飢饉や貧しさは確かにそうだったんだと思いますが、
鶴岡さんの考えているような、そういう考えもあるんですね。

2月11日の、「リバーダンス キッズ ~NY第59小学校~」みました。


ニューヨーク、ブロンクスの小学校。
アイルランド出身の先生がいます。

「リバーダンス」の写真を見た子どもたちが興味を示したことから、
アイリッシュダンスの練習がはじまり、
「ケルティック・ドリームス」と名づけられたダンスチームを結成します。

子どもたちはダンスに没頭するようになりました。
ダンスだけではなく、自分への自信を持ち、他の文化への興味と理解も深まるようになります。

子どもたちを取り巻く環境は、あまり恵まれているとはいえません。
住んでいる地区には貧しさもあり、犯罪の問題もあります。
そんな中、学校の先生たちの、子どもたちに夢を与えるという思いと、
親が子を見るまなざし(世界には別の文化や世界があり、それを見て、羽ばたいてほしいと願っている)、
そんなことが感じられました。


先生はアイルランドからNYに来たとはいえ、特にダンスや体操の先生、というわけでもなさそう…。
なのに、ちゃんとアイリッシュ・ダンスが踊れるんですね。スタイルもよいし。すごいわ。。

そして、子どもたちは、なんとアイルランドのTVに出演することになったのです!
 


ところで、TV出演のため、アイルランドへ行った子どもたち。
遺跡のようなところで、男の子二人が言った言葉が気になっています。
石の遺跡の中に入ったところで、なんとかかんとか・・・「・・・The Lord of the Rings」と聞こえた気がしました。
なんと言ったんだろう…。気になります。
シチュエーションとしては、「この遺跡、ロード・オブ・ザ・リングの世界みたいだね」というような感じだと思うのですが…。

「ジェイミー・オルークとなぞのプーカ」
トミー・デ・パオラ 再話・絵/福本友美子 訳
光村教育図書



 『ジェイミー・オルークとおばけイモ』
のジェイミー・オルーク第2弾?

またまた、なまけもののジェイミー、本領発揮ですが、今度はどんな事件がおこることやら?

「このおはなしは、アイルランドの伝承をもとにして、作者が作ったものです。」
とあります。

「あとがき」を見ますと、
アイルランドうまれの詩人イェイツが昔話を集めて出版した本に、プーカのことが載っているそうです。
シェイクスピアの妖精パックも、プーカからとられているとか。

私は、キプリングの「プークが丘の妖精パック」が読みたいなと思っていたのですけど、
そのプークだかパックだかに、関係あるのでしょうか。
パオラは再話の達人(?)だから、自分なりに工夫が入っているのでしょうか。
ゆかいなどんでんがえしで、楽しい絵本でした。

「ジェイミー・オルークとおばけイモ」
トミー・デ・パオラ 再話・絵/福本友美子 訳
光村教育図書



「アイルランドのむかしばなし」とあります。

デ・パオラのとくいな、昔話の再話(アレンジも加わっているのかな?)。
デ・パオラのおじいさんはアイルランド人だそうで、
この絵本の最初の「このおはなしについて」のところで
おじいさんからむかしばなしを話してもらった頃のことが書かれてあります。

この絵本は、絵がらも明るく、おもしろおかしい雰囲気がでています。
デ・パオラには『ドロミテの王子』『神の道化師』のように、真剣で美しい絵本もありますね。

なまけもののジェイミー・オルークはおかみさんがねこんでしまったために
イモほりをしなければならないはめになりますが…。

「きょうかいのオマリーしんぷさん」が、村人たちにまじって顔をだしているのが目につきますね。

はてさて、さいごはどうなることでしょう?
さいごの一ページのレプラコーンの絵は、オチになってるみたいでおもしろい。

(追記)
『ジェイミー・オルークとなぞのプーカ』を後日読む。)

(追記)
(参考:『トム』を後日読む。)

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