「マツの木の王子」
キャロル=ジェイムズ 作/猪熊葉子 訳
フェリシモ出版



先日、フェリシモ出版の『ムッドレのくびかざり』を読んで、
うしろに載っている、他の出版物のリストを見て、この本を知りました。
猪熊葉子さんの訳。
読んでみたく思いました。

マツの木の林がありました。
まわりには、他の木もはえているのですが、
マツのはえているところには、他の木ははえません
マツの美しさはいちばんで、まんなかの林は、マツの木だけがおさめていたからです。
そのまんなかに、マツの王さまの土地があって、マツの王子さまもそこにいます。

そんなある日、たいへんなことが起こります。
マツの間に、しかも王子さまの隣に、シラカバの木がのびてきたのです。

マツの王子とシラカバの少女はお互いにすきになりました。

私は、シラカバの少女が切られてしまったとき、
王子がばったりと倒れるところが、印象にのこりました。

そこから、王子と少女の長い、生涯の旅がはじまりました。

猪熊さんの(?)「解説 原作者キャロル=ジェイムズについて」を読むと、
排他的なマツの王国は、イギリスの
「階級意識を風刺しているようにもおもわれます」(p.167)
とありました。
なるほどと思いました。
また、
「愛と犠牲への賛歌」(p.167)
はアンデルセンにも通じる、と。
そうですね、確かにアンデルセンを思わせる感じもする。

王子と少女は、「愛と犠牲」の後も、さまざまな困難に出会います。

「ふしあわせだったから、こちこちになって、きしんだんだよ。また、すっかり、もとどおりになったね!」(p.156)


盛り上がってクライマックス、の後の人生のほうが長いといってもいいです。

「ほとんどはしあわせにすごした、じぶんたちの一生」(p.161)

と言えて、よかった。


解説で、ジェイムズが尊敬している作家の中に、トールキンがはいっていたのが嬉しかった。