ゆきて帰りし道で

映画と、児童文学と、絵本 etc.

他ブログから引っ越してきました。 まだ体裁やリンクが不完全です。内部リンク切れしています。

トミー・デ・パオラ

「ノーナさまのクリスマス」


トミー・デ・パオラ 作/ゆあさふみえ 訳

偕成社





2010年に読んだクリスマス絵本、3冊です。



この絵本は、「まほうつかいのノーナさま」シリーズの3番目、かな? 



「まほうつかいのノーナさま」シリーズは読んでみたいと思っていたけれど、『まほうつかいのノナばあさん』(ほるぷ出版)と関係あるのかな?



クリスマスをひかえ、大忙しのノーナさま。イブの夜、パーティをひらくのです。

のっぽのアンソニーは次から次に仕事を言いつけられ…。



でも、ノーナさまは、アンソニーが頼んでも、クリスマスの頃に魔法をつかおうとしません。




「クリスマスのころには、しぜんと まほうが はたらくものだからね。」(p.9)




トミー・デ・パオラの絵の、明るい色合い、赤の色がとても効いていて、きれいで楽しいです。

クリスマスの、すてきな魔法のおはなしです{/ピカピカ/}



余談ですが、干したタラは、外国でもたべるのですね。ここでは水を毎日変えてやわらかくし、シチューにするようでした。


「あすはたのしいクリスマス」
クレメント・ムーア 文/トミー・デ・パオラ 絵/
かなせき ひさお 訳/
ほるぷ出版



ムーアの詩「クリスマスのまえのばん」の、絵本の中で
トミー・デ・パオラのを読めました。

タイトルが「クリスマスのまえのばん」ではないので、
同じ題材だとは気づかれにくくて、ちょっと損をしているかもしれませんね。
でも、同じ詩から、こんなにたくさんの、それぞれの絵が生まれてくる。
素敵なことだと思います。

トミー・デ・パオラ版では、
サンタの物音に気づいて起きだして様子をうかがっているのは、
この家のお父さんということになっているので、
あれっ、そうだったのかな?とびっくりしました。
英語の原文ではどうなっているんだろう。

訳も、前に読んだジェシー・W・スミスの絵のものより、
より原文に近いような気がしたのですが、どうでしょう?

つやつやほっぺのサンタさんの顔。
原文でそんなイメージかな、と感じたような、
人の良さそうな血色のよいサンタさんの雰囲気がでています。

この絵本では、サンタさんは赤い服を着ていました。

「けむりのはなわが あたまをかこむ」

とあったので、
ジェシー・W・スミスの絵でも、なにやら頭の周りに囲んだ絵があったなあと
思い出しています。
あれは、パイプのけむりだったのですね。

「おばあちゃんのキルト」
ナンシー・ウィラード/長田弘 訳
トミー・デ・パオラ 絵
みすず書房(詩人が贈る絵本2)



先日、同じ名前の本、ナタリー・キンジーワーノックの『おばあちゃんのキルト』を読みましたが、
こちらは、最初に読もうと思っていたほうの絵本です。

トミー・デ・パオラの絵です。

「詩人が贈る絵本」のシリーズは、きいたことはあったけれど、
読むのははじめて。
インノチェンティの『白バラはどこに』などあるんですよね。

ナンシー・ウィラードという人は、知らなかった。
お話は、ちょっと変わった雰囲気。
ストーリーの完結というのじゃない感じ。

見開いたところにある解説に、
「不思議な味わいのノンセンス・ストーリー」

とあった。
こういうの、ナンセンスの面白みっていうのだな。

また、
「色鉛筆と水彩画のハーモニー」

と書かれている、デ・パオラなんだけど、
前に読んだ絵本とはまた違って、明るい色合いが印象的。
今までは色鉛筆じゃなかったのかな?
思い出せないけれど、
幾何学模様のような波形線のカラフルさとか、
4人の魔法使いの人物の、ちょっとゆがんだ小山のようなフォルムが並んでいるところとか、
色や形としての面白みを感じるのが、今までと違って新鮮です。

「トム」
トミー・デ・パオラ 作/福本友美子 訳
光村教育図書




トミー・デ・パオラの新しい本が出ているのに気づいて、読みました。

トミー・デ・パオラは、民話や伝説のお話が多いけれど、
今度は、これ、自伝的なものなのかな?

トミーのおじいちゃんは、トムという名前なので、
自分のことをトムと呼んでくれるように言うのでした。

トミーって、きっと、トミー・デ・パオラ自身のことじゃないかな、と思うんですが。

最初と、最後に、モノクロ(セピア色)をした写真、の絵がある。
おじいちゃんのトムと、トミーが写っている。
トミー・デ・パオラ自身、今はもう大人なわけだから、
そんな写真を見ながら、おじいちゃんを思い出している、ということをあらわしているのかもしれない。

このおじいちゃんが面白い。

アイルランド人のようだ。
本の通りだとすると、トミー・デ・パオラはアイルランドの血筋なんですね。

チキンのあたまや、足のところは、びっくりしました。
あまり気持ちのいいものじゃないけれど、
お母さんに内緒でしたこと、先生にしかられたこと、
それを包んでしまうおじいちゃんの大きさと茶目っ気が感じられました。

トミー・デ・パオラは、こんな家庭で育ったのかなと思ったら、微笑ましく、うらやましくなりました{/家/}

ひとつ、昔の時代だから、あたりまえだったのかもしれないけれど、
子どもの前で、パイプをすうのはよくないと思うけど。。

(追記)
『ジェイミー・オルークとおばけイモ』のところに、アイルランド人のおじいさんのことを書いていた。
むかしばなしをしてくれたおじいさん
そんな環境で育ったからこそ、今のトミーの下地がそこにあるのかもしれません。

「ジェイミー・オルークとなぞのプーカ」
トミー・デ・パオラ 再話・絵/福本友美子 訳
光村教育図書



 『ジェイミー・オルークとおばけイモ』
のジェイミー・オルーク第2弾?

またまた、なまけもののジェイミー、本領発揮ですが、今度はどんな事件がおこることやら?

「このおはなしは、アイルランドの伝承をもとにして、作者が作ったものです。」
とあります。

「あとがき」を見ますと、
アイルランドうまれの詩人イェイツが昔話を集めて出版した本に、プーカのことが載っているそうです。
シェイクスピアの妖精パックも、プーカからとられているとか。

私は、キプリングの「プークが丘の妖精パック」が読みたいなと思っていたのですけど、
そのプークだかパックだかに、関係あるのでしょうか。
パオラは再話の達人(?)だから、自分なりに工夫が入っているのでしょうか。
ゆかいなどんでんがえしで、楽しい絵本でした。

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