ゆきて帰りし道で

映画と、児童文学と、絵本 etc.

他ブログから引っ越してきました。 まだ体裁やリンクが不完全です。内部リンク切れしています。

バージニア・リー・バートン

「ちいさいケーブルカーのメーベル」
バージニア・リー・バートン 作/
かつらゆうこ・いしいももこ 訳/
ペンギン社





久しぶりのバートン。

今度はケーブルカーが主役です。
そしてやはり、名前はメーベルで、女の子なんですね。

ケーブルカーが坂の多いサンフランシスコで生まれ、発展し、時代は過ぎて、バスや車が行きかい…。
でもケーブルカーが廃止か、となったとき、町の人々は…。

ケーブルカーがなくなるかもしれない、と知った時のメーベルの顔がどことなくがっかりしているように見えます。

バートン独特の、くるくる渦巻きやらせん模様で縁取り(縁取りも絵の一部)された絵を久しぶりに見ました。

町の人たちが書いた請願書がくるくる、市役所へ続いていく絵は大胆ですね。

「はたらきもののじょせつしゃ けいてぃー」
ばーじにあ・りー・ばーとん 文・絵/いしいももこ 訳/
福音館書店



バージニア・リー・バートンの絵本です。

タイトルと作者名がひらがなのところを見ると、
幼い子ども向きなんでしょうね。

『ちいさいおうち』なんか、どうだったのかなあ。
作者名はカタカナだったような気がする。

読んでみて、
でもこちらの『けいてぃー』、けっこう難しい気がする。

お話は、単純だけど、
バートン独特の、絵の周りの説明画というか、
「55ばりき」とは、みたいな感じで、馬が五頭ずつ並んでいたり、
トラックの種類がたくさんあったり。
とにかく、周囲の絵、楕円形やカーブのついた繰り返し図模様、
東西南北の様子、
細かい部分から始まってさいごは俯瞰図で、パノラマ体験、と
バートンワールド、大展開、って感じ。

疲れてるとき読むと、ちょっとしんどいかも。。

バートンという人は、方向感覚とか、立体図の感覚がある人なんだな、という印象があります。
『せいめいのれきし』で、「太陽がこっちで家の方角がこっちだから…」みたいに
頭をひねった覚えがある。

しかし、『ちいさいおうち』がたいへん人気があり評価も高くて、
こちらはそんなに有名でなさそう(というわけではないかもだけど…)
なのは、どうしたことでしょう。
どこが違うんでしょう。
バーバラ・エルマンの『ヴァージニア・リー・バートン 『ちいさいおうち』の作者の素顔』で、
エルマンの感じていたことは書かれていたように思うけど。

 
「けいてぃー」って、ひらがなで見ると、なんだかちょっと違和感を感じる。
「ケティ物語」とかの、「KATY」かな、とは感じた。
原題を見ると、「KATY AND THE BIG SNOW」なので、
合ってた。
だけど、絵の中のけいてぃーにはなんと、
「K.T.」というイニシャルが書いてあるじゃないですか!!
どちらがほんとうなの?
「はたらきもののじょせつしゃ けいてぃー」と見たとき聞いたとき、
どちらかというと「K.T.」という印象がある。
皆さんはどうでしょう?

けいてぃーも、ちいさいおうちや、メアリ・アン(『マイク・マリガンとスチーム・ショベル』)、キャリコ「『名馬キャリコ』)?
などと同じく、女の子ですね。
(参考:『月刊MOE 2009年9月号(特集「ちいさいおうちとアメリカ黄金期の絵本」)』

じょせつきをつけた、けいてぃー。
じょせつきが大きなハートみたいでかわいい。



雑誌「月刊MOE」 2009年9月号(No.359)
白泉社

特集「「ちいさいおうち」とアメリカ黄金期の絵本」



「ヴァージニア・リー・バートン生誕100周年記念」
ということで、特集です!

絵本『ちいさいおうち』や、
作者バージニア・リー・バートンが暮らした村のことがきれいな写真で載っている、
魅力ある特集でした。

『ヴァージニア・リー・バートン 『ちいさいおうち』の作者の素顔』
の訳者、宮城正枝さんの文も載っていました。
バートンの描くおうちや、スチームショベルたちはみんな女性。
そういうことについても、書かれていました。
えっ、『名馬キャリコ』のキャリコも女の子だったのか…。それは知りませんでした。
(読んでたときは彼女、ってでてたのかもしれないけど、もう忘れてます…。)

『ちいさいおうち』にえがかれた、「her story」という言葉の持つ意味。
考えさせられますね。

バートンが活動した、デザインの「フォリーコーブ・デザイナーズ」のことが載っていたのが良かったです。

バートンの本の紹介のリストでは、『Song of Robin Hood』が載っていたのが嬉しい。
原書、「品切れ」って書いていました。
日本で邦訳されないかなあ…。
これ、バートンがイラストを描いているんですけど、絵がとても緻密で。(『ヴァージニア・リー・バートン 『ちいさいおうち』の作者の素顔』の本で知りました)

その他、バートンのほかに、アメリカ絵本の黄金期を支えた人たちの絵本が載っています。
お、マックロスキーもそうなんですね。

またこちらも参考に読んでみたいです。
この特集見ているだけでも楽しいです。



(追記)
(関連記事:メアリー・ブレア:
「視点・論点」 アーサー・ビナード ”ふしぎの国のアリス”の不思議



朝日新聞2009年3月24日付の「わが家のミカタ」コーナー。
最終回の記事です。
家を買ったり売ったり、引っ越したりするときの、ノウハウや知識を書いているコーナーで、
普段は本のことなんか関係ありません。

でも、今回、このコーナーに、
バージニア・リー・バートンの『ちいさいおうち』(邦訳:石井桃子さん)のことが載っていました!
バートンさんの写真や、自宅の写真も載っていました。

『ちいさいおうち』は、バートン自身が自宅を移築したことをヒントにしているそうなのですが、
日本で2007年、ある家を、頼まれて東京から秋田に移築した建築家の人が、
子どもの頃母からもらった本のことを思い出します。
その本が、バートンの『ちいさいおうち』だったという。

また、この建築家の人は、最初にこの家を作った建築家のお孫さんだそうです。
つながっているんですね。

最近、『ちいさいおうち』の絵本、
移築した建築家のお母様から、お家の持ち主の人に贈られたそうです。




「いたずらきかんしゃ ちゅうちゅう」
バージニア・リー・バートン 文・絵/むらおか はなこ 訳
福音館書店



バージニア・リー・バートンの絵本といえば、これ、忘れちゃならないような気がして、読んでみました。

何も知らないとき、なんとなくタイトルを知っていただけの時、
「いたずらきかんしゃ ちゅうちゅうちゅう」だと思ってました{/汗/}
(そのほうが語呂がいいじゃない?)
そして、なんとなくネズミがでてくるんだと。

違いました(笑)
CHOO CHOO、って機関車の音の擬音というか、そういうことらしい。
だって、そりゃ、いたずら機関車っていうんだもの。ねずみとは関係ないわね。。

CHOO CHOO TRAIN とか言いますものね。
ZOOもそうだし、ニール・セダカ(?)の歌でもあるかな。
英語圏の人にはシュッシュッポッポとかじゃなくて、CHOO CHOOって聞こえるのかな?

でもね、ちゅうちゅうが走るとき、訳はシュッシュッポッポじゃなくて、
「ちゅうちゅう しゅっしゅっ!」
なんです。
読んでると、ちゅうちゅうって走るような気がしてきます。

それはともかく、
訳はむらおかはなこさん!

バートンといえば、石井桃子さんや瀬田貞二さんという感じがあったし、
村岡さんの訳といえば?というと、はずかしながらアンくらいしか思いつかなくて。
絵本も訳してらしたんですね。

この絵本は、最後のページの解説を読むと、バートンの最初の絵本だそうです。
『マイク・マリガンとスチーム・ショベル』は、次男マイケルのためだけど、
こちらは機関車が好きな長男アリスのためだそう。

表紙内側のカラフルな絵を除けば、黒一色で、骨太な絵が迫力あります。
木炭みたいな、太くざっくりと書かれた黒々した感じが、機関車のイメージとも合う。

ちゅうちゅうには、はっきりとじゃないけど、なんか目鼻みたいな感じにみえるものがあって、笑っているように見えるところもあるけど、
最後のほうは泣いてる。

『ヴァージニア・リー・バートン 『ちいさいおうち』の作者の素顔』で、
この絵本のことだったろうか、確か、ジムのことを危機におちいったヒロインを救うヒーロー、みたいな表現をしていたところがあって、印象に残っている。
(それとも『マイク・マリガンとスチーム・ショベル』のほうだったかな?)
確かに、心細かったちゅうちゅうを、ジムが向かえにきてくれたときを思えば、そう思えるかも。

それと、思ったのは、ちいさいおうちや、スチームショベルのメアリ・アンと同じように、ちゅうちゅうも女の子なのかな。

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