ゆきて帰りし道で

映画と、児童文学と、絵本 etc.

他ブログから引っ越してきました。 まだ体裁やリンクが不完全です。内部リンク切れしています。

バージニア・リー・バートン

「せいめいのれきし」
バージニア・リー・バートン 文・絵/いしいももこ 訳
岩波書店



「名馬キャリコ」のリー・バートンです。
副題、というか表紙の下のところに
「地球上にせいめいがうまれたときからいままでのおはなし」
とあります。

「名馬キャリコ」は白黒だったけど、これはぜんぜん違いました。(でも、がにまたというかO脚の足は、「名馬キャリコ」で見た形だなぁ。)
舞台の幕の中に宇宙が入っちゃうんですから。

真っ赤に燃えた地球やらマグマみたいなのやら、鮮やかです。
いや鮮やかというよりも暗い赤で、混沌ムードで、冷えてきた地表なんか、暗い世界でこわいです。

日本語版をつくるのはたいへんだったでしょうね。
絵の中にある言葉、日本語で書き直して、特に表紙裏の年表など。
(背表紙の書き文字は、走り書きふうすぎるような気がするんですけど…)

古代生物のでてくるところは、わたしには難しくて、さっと読んだくらいだけど。
(でもこれを読んだ後で「タコって、何類?」という話題が出たとき、最近聞いたぞと思った。あの絵本にあったぞ。「頭足類」って。)

「エオヒッパス」という「四ほんゆびのちいさなうま」、かわいいです。こんなのがいたんだ。

古代からアメリカ大陸にうつった場面。
場面がうつるんだし、前のページの背景は海だし。
ここに恐竜がいた場所とは違うんだろうけど。
後ろの山三つ、古代の背景と一緒ですよね。

このアメリカの場面から後ろは、ずっと同じ場所の移り変わりを見ているのかな。
「うり地」になってしまうところは、一抹の寂しさ。
そこから後は、一家の生活を追う。

庭の左のほうに天使の像みたいなのがありますよね?
気づいたあとで、さかのぼってみたら、「5まく1ば」で出てきてて、2ばと3ばでは、見えない。

気づいたのは、6ばで西の山に日がしずみ、
7ばでぐるっと視点が回転して、左のほうから庭を見ているんだと思ったから。
そのとき、像は視点のほうに近くある。
(東西南北考えたら、わからなくなってきた。日が西に沈むからあっちが西だと思うけど、
7ばの北極星というのは?)
像のようなものがある?と思ったとき、羽があるような気がして。前の場面をたどってみた。
あの像が書かれているのはどういうような意味があるのでしょう。

「名馬キャリコ」
バージニア・リー・バートン 絵・文/せたていじ 訳
岩波書店(岩波の子どもの本)



せたていじさんの訳の絵本といえば『よあけ』?(って、まだよんでない)※
と思いながら、こんなのがあったので、読んでみました。

西部劇ふうみたいだし、
バージニア・リー・バートンという人も有名みたいだけど読んだことがなかったし、どんなかなと思った。

白黒の、版画みたいな絵で、1ページに2枚の絵とか(見開きに4枚)、コマ割りふうになっている。
なかなか面白かった。

せたさんの言葉も、楽しみました。
あっかんたちの名前も、「ばらしやボーンズ」「へびの目パイゾン」「はげたかベイツ」「ちびスカンクのスキーター」、と面白い。語呂もあっているし。
あっかんたちの親玉は、「すごみやスチンカー」。5人の中でやはり一番印象が強い。
(原語では、「STEWY STINKER」。STEWYとかSTEWとかで調べてみたけど、すごみやとかいう意味ではでてなかったみたい。)
スチンカーの馬は、「どろずみ」

ぎょっ! とするまも,あっ! というまもあらばこそ,まばたきするまに,川をわたり,はらをこえて・・・・・・
(p.19)

すごみやスチンカーが馬車をかって,せまい山ざかを,首もおれよと,とばしました。
(p.39)

なんて、瀬田さんらしい言葉づかい、と思いました。「あらばこそ」「首もおれよと」のところなんか特に…。

なだれかかる洪水のあしは,はやせまり,水かさは,こくいっこくにますばかり。いそげや,いそげ!
(p.51)

の文章が気に入りました。
なんかこういうの感じ、講談とか浪曲とかいうのかな?ああいうのと似てる気がする。
聞いてて耳に心地よいというか…。

あっかんたちが素直に学校へはいっていくのに、すごみやスチンカーだけはそっとぬけだす、その気持ち。
最初はわるだくみするのかな?と思ったけど、そうじゃなかった。
そっと窓から中をうかがう、すごみやスチンカー。その気持ち、せつないね。
泣いた顔はなんか変だけど。。なんで黒くて線がいっぱいはいってるの? 月夜だから逆光のせい? 版画(?)のためにそういうタッチになるのか?

ひとつわからないのは、「がにまたビル」がスチンカーをきしゃのおもちゃであそぼうとさそったとあるけど、
絵をみると、がにまたビルは、おっての一隊と一緒に帰ってきているように見えるんだけど。

※(追記)
「よあけ」よみました

(追記2)
(関連記述:「ヴァージニア・リー・バートン 『ちいさいおうち』の作者の素顔」

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