ゆきて帰りし道で

映画と、児童文学と、絵本 etc.

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ヒルダ・ファン・ストックム

「楽しいスケート遠足」
ヒルダ・ファン・ストックム 作・絵/ふなとよしこ訳/
福音館書店



本のお仲間がこれを読んでいて、知った本です。

オランダの、スケートを運河ですべるようなストーリーを知り、
『銀のスケート』を思い出しました。
図書館の新着コーナーにあったので、あ、あの本だ、と思い読んでみました。

あとがきを、そっと見ると、『銀のスケート』という文字が見えたので、
あ、やっぱり言及されてるのかな、と思いながら、
読む楽しみに影響しない程度にあとがきを読んでいってみると、なんと!
この人、『銀のスケート』の挿絵を描いたひととあるじゃないですかぁ~!

「作者自身は、日本にはさし絵画家として、一九五二年に邦訳が出た『ハンス・ブリンカー――銀のスケート――』(M・M・ドッジ作/石井桃子訳)でお目見えしていますが、今回はじめてお話を絵を合わせた作品が翻訳紹介されることになったいきさつは(後略)」(p.148 訳者あとがきより)


名前は忘れていたけれど、『銀のスケート』の感想を書き留めたデータを見てみると、
ほんとにそうだ。びっくりです。

この本は、アメリカで出版された当時は脚光を浴びたそうですが、
1994年に復刊されるまで60年間も手に入りにくい本だったのだそうです(訳者あとがきより)。

私は、ドッジの『銀のスケート』も良かったと思いますが、
(似たような、と言ったら言葉は悪いですが…、)
同じくオランダの運河のスケートを滑ってゆくストーリーを持つ、
作品の挿絵としてしか、(アメリカ版や他国の版の挿絵はヒルダさんだけなのか知りませんが)
日本で知られていなかったわけですよね…。
ご自分も、スケートのお話をお書きなのに…。
このたび、作品と絵もそろったものが、日本で出版されたわけです。良かったですね。
やっと日のめを見れた作品かな、と思って、読めてよかったです。

カラーの絵もとてもきれいです。
白黒の小さな挿絵はユニークな場面もあります。
スケート遠足で行った先で、ほかの学校の生徒と雪合戦がありました。
デ・ウィットさんが背中に雪がはいって、身をよじっているところはおもしろい。
学校の若い先生のお友達のわりに、おひげなんか生やしているのでびっくりしました。

みんなはつらつとして、愛情を受け、いい子たちです。
おとなしいシモンだけは家庭にめぐまれず、さびしい思いをしていますが、
危険がせまったとき、冷静で、機転がきくのは、シモンです。
エベルトも、もっとはやく、シモンに声をかけてあげればなあ…。

スケート遠足の途中で、氷の上にでているお店で食べたケーキ・コルスチェや、
農家でいただいた「雪のパンケーキ」など、
よく食べていますね~。
おいしそうです。




「銀のスケート ハンス・ブリンカーの物語」中・下巻
M.M. ドッジ 作/石井桃子 訳
埼玉福祉会(大活字本シリーズ)



上巻から少しあきましたが、中巻、下巻、よみました。

中巻は、ハンスとグレーテルの家族の問題はおいておいて、
そのほか恵まれた少年たちのスケート旅行のことがどんどん書かれています。
運河の上をスケートでずっと旅していくんです。
なにせ氷がずっと続いているんです。
間に書かれている景色、風土、仲間たちの行動がめずらしかったです。

さっぱりしたキャプテン肌のピーター君。イギリスから来たベン
太めで気のいいヤコブ。いばりやなところもあるカール
ランベルトルードウィヒ

旅行や、オランダの歴史、気質の説明もいいけど、そういう記述が続くといったいどうなることかと思ってしまう。
でも、これは、訳者あとがきによると、
「この本もたいへん長く、お話でありながら、旅行案内であったり、歴史の本であったり」(p.213-214)

する面もあるようでした。
石井さんは、そういう部分は幾分省いているところもあるそうです。
(でないと日本の少年少女の読者には長すぎるのかもしれないですね?)
そして、驚いたことに、作者は、(オランダ人の血はひいているけれど)アメリカの人なんだそうです。

ハンスとグレーテルの家族は、どうなったでしょうか?
謎の事柄の真相は?
そして、銀のスケート靴は、誰の手に入ったでしょうか。

解決に至る展開がうまくいきすぎという点はあるかも。
スケート大会は一大イベントです。そこにも、爽やかな友情がみられました。

子供たちの将来。
わたしはカトリンカのところで涙がでた。
かわいいけれど中身のない、リンリンなるだけのベルのような、カトリンカ。
高慢なリシーよりも、まだ問題ありそう。そのうち誰からも相手にされなくなりそうな子。
でも、貧しくても誠実だったハンスや、立派なピーター、ヒルダアニーと違い、
嫌な子はこうなるのか。
カトリンカが
「本気になるということがあってくれれば」(p.205)
しあわせになれたのか。
うまく言えないけれど、心がいたみました。



(追記)
挿絵のヒルダ・ファン・ストックムの作品、『楽しいスケート遠足』読みました。

「銀のスケート ハンス・ブリンカーの物語」上巻
M.M. ドッジ 作/石井桃子 訳
埼玉福祉会(大活字本シリーズ)



以前は、単に「ハンス・ブリンカー」というタイトル(?)だったとか、そういうこと聞いたことある。
(「銀のスケート」になったんだと思っていたら、ちゃんと副題に「ハンス・ブリンカーの物語」とありました。)
読みたいなーと思いながら、何年か。
ついに、手にとりました。
でも、これは、大きな活字のシリーズなので3巻に分かれていて、まだ上巻です。
(参考サイト:埼玉福祉会の、大活字本のページ

石井桃子さん訳です。

オランダの、ハンスとグレーテルという貧しい家の兄妹。
お父さんが事故にあってから、たいへんです。
まわりのもう少し恵まれた環境の子どもたち。いやな子どももいるけれど、
「~してくれたまえ」とか、特にみんなのキャプテン役のピーター・ファン・ホルプがさわやかです。

ほんとうなら、子どもがこんな言い方するのをずっと読んでいると鼻につくかもしれませんけれど、
オランダの真面目な感じが、人柄や町の描写に現れているのか、今のところ、あまり気になりません。

スケートも買えないハンスとグレーテル。
ばかにされていますし、家はたいへんなのです。
でも、何か秘密もありそうな感じ。
これから事件もおきるでしょう。

後半を読むのが楽しみです。

(追記)
中・下巻よみました。

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