絵本 「せんそうとへいわ」
マイケル・フォアマン/せたていじ 訳
評論社



夏、この季節。
戦争と平和の本の特集。去年(?)こんなのがあるんだと知った本。
瀬田貞二さんの訳だし、読んでみた。

うーん…。
ちょっとわかりにくい…。

ライオン王の国は、かわいて、何も実らなくなりました。
となりぐにには食べ物がどっさりあります。
ライオン王は、となりの国に、お願いしにいくことになります。

そのライオン王は、すごく細くて、甲冑を着ているのが、
『ドン・キホーテ』を思い出してしまいました。
長いたてがみで、憂いをおびた表情で座って、考えているライオン王。

「たべもの大じん」と二人で、となりの国にいくのですが、
なぜか自転車で行きます。
「たべもの大じん」は小柄なので、サンチョ・パンサみたいにも見えます。

となりの国に近づくと、山々が見えてきますが、それが、ケーキとかお菓子なのです。
それがとてもリアルな絵なので、異様な感じです。
写真のコラージュかとも思ったのですが、絵で描いてあるのでしょうか。

となりの王はとても太り、お願いしても話が通じません。

このとなりの王や家来は、人間のようですね。
ライオン王の国びとは、動物たちのようです。

ライオン王が、たべもの大じんに、昔自分たちの国が広くて、獣たちがいた森などのことを語った、ということから、
何か、動物・自然とその破壊、未来像、人間のおろかさとか、自然と人間の対立とか、いろいろテーマは見つかりそうです。
でも、そうなのでしょうか。フォアマンが言いたかったことが、
いまひとつつかめない気がしました。

結果的に、意図しなかったことが起こります。その絵は美しい。

平和の大切さをえがいているのはわかるのですが、
ちょっとつかみどころがないような、風変わりな絵本のように思いました。

ライオン王の長い槍の先についている旗のしるし、
ハートマークでした。