ゆきて帰りし道で

映画と、児童文学と、絵本 etc.

他ブログから引っ越してきました。 まだ体裁やリンクが不完全です。内部リンク切れしています。

マザーグース

「風が吹くとき」

1986年 イギリス
原題 WHEN THE WIND BLOWS
監督 ジミー・T・ムラカミ


レイモンド・ブリッグズの絵本が原作です。
絵本はちゃんと読んだことはありません。
コマ割ふうの絵本でしたか…?

NHKの「夏休みアニメ特選」で見ました。
吹き替えです。

「風が吹くとき」のタイトルは、
マザーグースからですよね。
風が吹いたら ゆりかご落ちる、みたいな。

ロンドンの田舎地方で隠居生活をおくっているジムとヒルダ
戦争になるだろう、とラジオは言っています。
ちょうどジムは図書館で、パンフレットをもらってかえってきたところ。
「核シェルター」の作りかたのパンフレットをもらってきていてよかった、と言っています。
でもそこに書かれているのは、ドアをたてかけてクッションでおおっただけのシェルター。

こんなもので防げるわけがない。

けれど、危機感がないんです。この二人。

老夫婦の話と行動が延々と描かれていくんですが、
ヒルダは日ごろのこまごまとした生活にしか関心がないような感じで、
ほのぼのとした絵がらのままのような…。
どうしてそんなにのんきでいられるのか。
パニックにならないところが不思議でした。

いえ、ジムはある意味、他の人より準備していました。
着々と、ドアをはずし、パンフレットを読み、書かれたリストを買い物に行って、売り切れていて、
「いやあ、ピーナツバターがなくたって、生きれるさ」みたいなことを言って。
息子に電話をかけて、シェルターを作っていないと知ると、怒ります。

そしてついに…。

そこまでもやきもきしましたが、ここからがまたつらいです。

外見的には怪我はしなかった。
けれど、しだいに、体の不調があらわれてきます。
それでも、無知で、「善良」で、政府の救援が来ると信じて疑わない二人。
めまいに吐き気に悩まされても、二人の話が延々と続く。

きっと、もうだれもいないんだ…。とわたしは思いましたが、
どうなんでしょう。

「おまえ、口紅つけたのか」
という台詞の前にヒルダの口が赤くなっているのに気づいたので、ぞっとした。
なのに、口内炎か、歳とったせいで歯が悪いか、なにかそういうことと信じていた二人。
もうやめてくれといいたくなってくる。

淡々としているのに、こわさと、いかりを覚える映画でした。



(追記)
ブリッグズの『スノーマン』読みました。

「われた たまご」
フィリピン民話/小野かおる 再話・画
福音館書店(こどものとも 世界昔ばなしの旅6)



一読して、びっくりしました。
これって、言葉が積み重ねになってる!

内容は違うけど、
言葉がどんどん積み重なっていく、マザーグースの「クリスマスの12日」みたい!
(マザーグース、ほかにも積み重ね歌、あるかな)
 


みふうずら の卵が割れてしまった。
うまの足あとが残っている。

 うま うま、
どうして わたしたちの すのうえを かけたんだい。
(中略)
 それは なんとも おきのどく。
 にわとりのやつが ぎゃあ ぎゃあ さわいだので、びっくりして かけだしたのさ。(p.4)


だんだんと言葉が増えます。


さるが おどろいて やしのみを おとしたので にわとりが さわぎだし、うまが かけだしたので(後略)(p.14)


というように次々とさかのぼって、言葉が増えていく。

フィリピン民話ということで、ぜんぜん場所は違うのに。
似ていることって、あるものですね。



*マザーグース「クリスマスの12日」

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