「クリスマス物語」
マルコ・レイノ 著/末延弘子 訳/佐竹美保 絵
講談社
図書館、北欧の本が何冊かあるのに気づいて。
新しいこの本を選んでみた。絵が佐竹さんだ。
クリスマス、サンタクロースがプレゼントを配る。
その伝説にひかれた作者が、地方によって異なる伝説にぶつかるうち、内なる自分のこころに聞くことを知った。
創作であるが、サンタクロースがうまれたわけを、彼なりにこの物語のうちに語る。
作者は、フィンランドの脚本家・参加の人だそうで、この作品はフィンランドで映画にもなったそうだ。
離島に住む一家は、満ち足りた幸せに包まれていた。
小さなニコラスは、幼い妹アーダの世話をよく見てくれる。
ニコラスは、まだおぼつかない手つきで、妹にクリスマスの贈り物を彫っている。
けれど、今、ニコラスの上に運命がつきつけられようとしていた…。
展開は、さいごまでどうなるのかわかりませんでした。
アイデアはいいと思う。
最初は、緊迫した事柄に、ひかれたけど、あとのほうはやや冗長かなあ…?
節目になる事柄が起きた後、時がとぶようにすぎていく流れの中、ニコラスの<老い>や孤独をもう少し、深く感じたかった。
親友エーメリとの確執の元になった、「秘密」にこだわっている気持ち、クリスマスに全力を注ぐ思いは、
エーメリには、異常なほどに思え、過去から目をそらしている、と映った。
ニコラスの心の奥には、あの運命の、クリスマスの日しかないんだという思いは、
ニコラスの言葉に、はっと思わされた。
でも、だからこそ、そのあたりが、もうちょっとわかりやすかったらよかったんだけど…。
佐竹さんの絵、凍りかけた海をゆく船上の幼いニコラスの絵と、
年老いたニコラスが雪をかきわけてのぼっていく絵が印象に残りました。この絵、表紙と対になっていますね。