ゆきて帰りし道で

映画と、児童文学と、絵本 etc.

他ブログから引っ越してきました。 まだ体裁やリンクが不完全です。内部リンク切れしています。

マーシャ・ブラウン

「もりのともだち」
マーシャ・ブラウン 作/八木田宜子 訳/
冨山房



『長ぐつをはいたネコ』に続き、マーシャ・ブラウンです。

冬、きつねと、のうさぎがとなりあわせに家をたてます。
のうさぎは、木の皮で。
きつねは、氷で、というのが面白い。
氷の絵の表現も面白いです。線と緑色だけなのに、氷という感じ。

絵は線も野太い感じで、『長ぐつをはいたネコ』とは少し違うイメージがしました。
時代が違うからかな?

春になると、きつねの家がとけて、
きつねはのうさぎを追い出してしまいます。

「なかずには いられないのさ、おおかみくん。」(p.14)


助けようとしてくれる仲間は現れますが…。

<3回の繰り返し>があらわれてます。
さいごはいったいどうなるでしょう。

ネタバレになりますが、
3番目の助け手は、雄雄しく迫力ありますよ。

「長ぐつをはいたネコ」
ペロー/マーシャ・ブラウン 絵/光吉夏弥 訳/
岩波書店



マーシャ・ブラウンの、長靴をはいた猫の絵本です。
他の人の絵本もあったけど、やはりまずはマーシャ・ブラウン、こちらを読む事にしました。

長靴をはき、羽のついた帽子をかぶったねこ、立派に見えますね。
<カラバ公爵>のために先にたっては、お百姓を説き伏せます。

粉屋の三男も、猫の機転で、立派な服を着て、
お姫様を見つめているところの絵が素敵です。
お姫様は、「世界一うつくしいお姫さま」なんですって。

ローラン・プティのバレエの本では、ペローの説明のところで、
ペローのは、昔話やすでに他の作家が発表したものの編集だが、
17世紀のフランス宮廷時代に置き換えた、とありました。

マーシャ・ブラウンの絵は、過去の画家たちの絵を参考にしているのかもしれないけれど、
衣装なんか、宮廷風な感じを出していますね。

鬼をおだてて、小さくしてしまって…というのは、日本の昔話にもありますよね…?
和尚さんが、みたいな。
似ているなと思いました。

「ウィッティントン」
アラン・アームストロング 作/S・D・シンドラー 絵/
もりうち すみこ 訳/
さ・え・ら書房



リチャード(ディック)・ウィッティントン
イギリスで1350年代に生まれ、織物商として成功を収め、ロンドン市長にもなり、
莫大な財産を貧しい人たちのために使った人だそうです。

「ウィッティントンと猫」という昔話にもなっているそうです。
作者あとがきによりますと、
「十七世紀になると、ウィッティントンの名声は、非凡な猫によって財産を築いた十三世紀のペルシャの孤児の昔話と結びつきました。」(p.314)

ということですから、三男で財産はなかったとはいえ、貴族の出だったのが、
貧しい生まれという話に変わったということでしょうか。

と、いうことで、とにかく、昔話の話なんだ、と思って、期待して読み始めました。
航海の地図もあるし、面白そう。
ところが…うーん…。

合間合間に展開される、ディックの冒険・活躍・船旅や商売の話は面白いのに、
まずそこへ行くまでが、いったいどういう話なのか、わかりにくかった。

ディックを金持ちにしたという猫の子孫が、ディックの生涯を語る。
ただそれだけで、いいんじゃないでしょうか?

はみだしものの動物たちが納屋に集う、という設定も面白そうだし、
読字障碍というテーマも興味があるのに、
それぞれがぜんぜんかみ合ってない気がします。

だいたいどうして、子どもたちが動物たちの言葉を理解できるのか、さっぱりわからんのですが。。{/汗/}

ちょっと残念でした。。

でもウィッティントンのことが少しわかってよかったです。

ちょっと調べてたら、昔話の本にもディック・ウィッティントンと猫の話は入っているようだし、(読んだことあるのかも…)
マーシャ・ブラウンの絵本に「ディック・ウィッティントンとねこ」というのがあるようです。

「せかい1おいしいスープ あるむかしばなし」
マーシャ・ブラウン 再話・絵/わたなべしげお 訳
ペンギン社



『三びきのやぎのがらがらどん』マーシャ・ブラウン
(参考:HPの『三びきのやぎのがらがらどん』の感想)

こんな絵本があるって知りませんでした。

マーシャ・ブラウンに渡辺茂男
これは、はずれはないでしょう。

あとがきをみると、
「フランスの昔話「奇妙なスープ」を素材にしたもの」

とありました。
絵本の原題は「石のスープ」

読んでみると、これ、「くぎスープ」というお話に似ているみたい。

「くぎスープ」
前に読んだのは、何だっけ、と。
瀬田貞二さんの『世界のむかしばなし』という本の中に入っている「くぎスープ」で、自分の感想を読みかえしてみると、スウェーデンのお話ということです。
(参考:HPの『世界のむかしばなし』の感想

スウェーデンとフランス。
似たお話があるんですね。
 

おなかをすかせた3人のへいたいが、村を見つけて、食べ物と寝る場所をほしいと思うのですが…。

食べ物を隠してしまう村人、最初はけちだなと思ったけど、
ちゃんと理由が書かれているところは、しんみりします。

でもそのあとは、楽しい。
赤い上着を着て、長靴、ナポレオンみたいな三角帽子のへいたい。
機転をきかせるのだけど、最初は、そんな気の回る人たちだと思ってなかった。

にんじんをきっている剣は、腰にさしていた武器じゃないですか?
考えたら、あまり気持ちよくないですが…。
この絵自体はとても好きです。


マーシャ・ブラウンの絵がいいです。
表紙なんか、とっても楽しそう。



(追記)
(参考:『しあわせの石のスープ』

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