ゆきて帰りし道で

映画と、児童文学と、絵本 etc.

他ブログから引っ越してきました。 まだ体裁やリンクが不完全です。内部リンク切れしています。

叙事詩

「ウズ・ルジアダス(ルシタニアの人びと)」
ルイス・デ・カモンイス/
小林英夫/池上岺夫/岡村多希子 訳
岩波書店




 「アンデルセン童話全集」のどの巻かを読んでいるとき、「ウズ・ルジアダス」のことをはじめて知りました。
(参考:HPの「アンデルセン童話全集」のデータ

ヴァスコ・ダ・ガマのことを書いた、叙事詩らしいということだった。
アンデルセンがとても褒めていたか、感銘を受けたか、何かそういう事が書いてあったように思う。
いつか読みたいと心にとめていました。

 瀬田貞二さんの『航路をひらいた人びと』や、
山室静さんの『バイキング王物語』(参考:HPの『バイキング王物語』の感想
などで、航海の本を読んだり、
テレビでクック船長のエンデバー号を再現した航海の番組を見たりして、航海のことを読んだり見たりしてきた。

(他にも、「ピーター・パンとウェンディ」とか映画「ヴァイキング」とか、船に関係あるといえばそうですね。)

 そしてこのところ、帆船の映画
「戦艦バウンティ号の叛乱」「マスター・アンド・コマンダー」
を見たりしていたし、そろそろ読みたいなと。

「世界ふしぎ発見」マカオが特集されたとき、
「カモンエス広場」と言っていた。
今だな、と思い切って読みました。


「ここに地終わり(地果て)、海始まる」

という言葉をごぞんじですか?
わたしは知りませんでした。
ポルトガルのロカ岬という、ユーラシア大陸最西端の岬にその石碑があり、有名なんですって。
「ウズ・ルジアダス」の中の一節です。

ウズ・ルジアダスのことを調べているうちに、
「山梨県立図書館」のレファレンスのページ
http://www.lib.pref.yamanashi.jp/cgi-bin/refjirei/refs.cgi?c=common&n=8
をみつけたりして、ロカ岬や石碑のことをしりました。
ロカ岬と、この言葉は、けっこう有名みたいですね。

また、他に、高倉健さんが、著作でロカ岬のことを書いているとか…?
今回、「ウズ・ルジアダス」をやっと読み、感想を書くにあたって、「ウズ・ルジアダス」について調べていたら、
朝日新聞の「天声人語」欄にそのことが書いてあるらしいことがわかった。
そういえば、この天声人語、切り取っていたはず…。{/ひらめき/}
探してみたら、ありました! 日付をメモってないけれど、2006年末あたりだろうか。
ロカ岬で書いて出さなかった手紙のことを、『あなたに褒められたくて』という著作で書いていらっしゃるそうだ。
高倉さんが文化功労者に選ばれたときの、天声人語のようですね。


 本を読んだ後で、えっと、…この有名な言葉、でてきたっけ?と調べてみたら、
第3歌20章にあるそうで、見てみた。
あった、あった。


「見よ,ここにヨーロッパぜんたいのいわば
 いただきにルシタニア王国がある.
 ここで大地はおわり,海がはじまる.
 そしてポイボスが大洋にいこうのだ.」(p.93)


んー、文語調の「ここに地果て~」とは雰囲気が違いますが、
確かにありました。
ポイボスというのは、注(第1歌4章7)によると、
アポロのことだそうで、つまり太陽のことだそうです。

 こんなふうに、ギリシャ・ローマ神話のことがたくさんでてきます。

ギリシャの神々の、バッカスが、ガマたちの航海をじゃましようとして、ヴェヌスがガマたちの航海を助ける。
(しかし、ガマはそれを知らない。)
それが表面上の筋としては大筋になっている。

 そう、最初、ウズ・ルジアダスが叙事詩ときいたとき、ガマが主役と知ったときは、
ガマがとても英雄視されているのだろうと思っていました。
でも読んでみると、全然ちがった。

例えば、もうだいぶ忘れたけれど
「エル・シードの歌」や(参考:HPの『エル・シードの歌』の感想)
「ローランの歌」(参考:HPの『ローランの歌』の感想)
なんかだと、主人公は、もうとても英雄の誉れで輝いていたと思うのですが、
こちらのガマは、印象が薄い感じ。
ガマの物語というよりも、ポルトガル(ルシタニア)の偉大さを歌っているみたいに感じた。

解説のページを、興味深く読みました。

 ポルトガルの歴史や英雄は知らないので、人の名前はむずかしく、注を読むのは大変だった。
自国の歴史や英雄、また他の国の歴史や英雄も出てきて、歴史の知識の下地がいるなと思った。
エル・シードのロドリゴ・ルイ・ディアス・デ・ビバール(第4歌8章3)や、
テルモピュレの英雄「スパルタ王レオニダス」(第10歌21章4)について記述が出てきた時は、嬉しかった。
(参考:テルモピュレ:参考記事


 
 あと、関係ないですけど、
朝日新聞のマンガの「ののちゃん」
キクチ食堂に、吉川ロカという人がアルバイトに入りました。
定休日にライブをしたいということだったと思います。
この間、6月29日(月)の朝刊の「ののちゃん 4341回」
ロカさんは定休日ライブをしており、ポルトガル語?で歌っています。
お客は、
「ポルトガル語とかわからんが 雰囲気あったねぇ」
「キクチ食堂がリスボンの酒場にみえてきたよ。」

と言っていますが、作者のいしいひさいちさんは、
ポルトガルやロカ岬に興味があるのでしょうか?


(追記)
ちょうど今、朝日新聞にマカオ観光局提供の、連載「マカオ 南蛮渡来の世界遺産」が載っています。
つい先日、8月4日の第9回分に、「ウズ・ルジアダス」「カモンエス(カモンイス)」のことが載っていました!
タイミングがぴったりで嬉しかったです。


(追記)
(参考記事:「宝塚「コインブラ物語」と「ウズ・ルジアダス」

「リベックじいさんの なしの木」
テオドール・フォンターネ 文/ナニー・ホグロギアン 絵/藤本朝巳 訳
岩波書店






ホグロギアンの本、2冊目。

やさしいリベックじいさん。
なしの実をこどもたちにわけてあげます。

版画の絵が、味わい深いです。

「妖精の妻」の絵とはまた違うけど、
うっすら薄い青色が、画面にさーっとながれているのは、「妖精の妻」でも気づきました。
青い色と、黄土色。ホグロギアンで気づいた色です。
それと、夢見るような、たれ目(?)の瞳も、もしかしたら特徴的なのかな?

なしの実は、まるくなかった。
あたりまえだけど洋ナシのかたちでした。

寛容なじいさんの、息子は、しみったれなんですねぇ。
(この人は、つり目につり眉毛だわ。。。)

藤本さんの解説によりますと、これは、フォンターネという、ドイツの詩人の書いた、ハーフェルラントを舞台にした叙事詩なんだそうです。

「『ルッピン伯爵領とその周辺地域の民話伝承』を下敷きにして書かれ、」

とありました。

「バラッドや民話など、伝承文芸に親しんでいるホグロギアンの味わいのある版画が」


とありました。ホグロギアン、そうか、伝承にくわしいんですね。だから、「妖精の妻」の絵も手がけたのかな。

はじめは、アメリカから出版されたけど、ドイツ版が出たとき、編集したのは、
ベッティーナ・ヒューリマン
その名に、アッと、思いました。
この人の本読んだ。
(参考:HPのヒューリマン著『ヨーロッパの子どもの本』の感想
有名な編集者なんですね。

「彼女自身、ハーフェル川の近くで育ち、ホグロギアンが版画でこの作品を制作していることを知ると、すぐにドイツ語版を出すことを決めたそうです。」

とありました。

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