「みつばちマーヤの冒険」
ワルデマル・ボンゼルス/高橋健二 訳
国土社



小さいマーヤが、巣箱からはじめて出たとき、
その胸は希望に満ち、世界は美しさにあふれていました。

はじめて見る、湖にうつった空。
マーヤの冒険心は、仲間と一緒に巣でろうをつくったりすることより、外へ向いていました。

いろいろないきものたちとの出会い。
親切なものもいましたが、風変わりな出会いも。
危険もありました。
いつしか、小さなマーヤは若いみつばちへと成長します。
人間に会いたいという願いを持って。

ボンゼルスは、マーヤや他の生き物を、
簡略化してはいなくて、生態の特徴をいかしているのだろうなと感じました。

おっとりした口調のマーヤも、
危険に遭遇したときは、みつばちの誇りに燃え、
憤りの言葉を発します。それは迫力に満ちています。

それでいながら、名前もついた生き物たちは、親しみやすく、
ほんとうにこのような者たちがいそうな雰囲気です。

高橋さんの訳もよかったと思います。
解説によると、高橋さんは、1931年にボンゼルスがひらいた自作朗読会に行ったそうです。
若々しく見えるボンゼルスの写真も載っていました。


昼間の太陽に満ちた世界の美しさもさることながら、
私は夜の場面もすきです。
月夜の星。虫の音。

また、くまばちは恐ろしく、盗賊のように描かれていますが、
彼らの体は、よろいをまとっているように表現され、まるで兵士のようです。
その力強さは、マーヤをもうっとりさせるきらびやかさをもっているのです。
番兵のよろいが月で輝いていて、
「昼も夜もあれをぬがないのだ。」(p.164)

とマーヤが思ったとき、賛嘆しているように思われました。

みつばちの巣も、女王を囲む兵士の城、として描かれています。
忠誠心と統率力をもった兵士ばちの闘いは迫力がありました。

気になっているのは、くまばちの番兵がどうなったのか…。



(追記)
熊田千佳慕さんの絵の「みつばちマーヤの冒険」読みました。