「白くまマリヌス」
フランス・ベアリナー 作/フルール・ブロフォス・アスムセン 絵/
奥田継夫 木村由利子 共訳/
大日本図書



白くまのこぐま、マリヌスティヌスの誕生、そして、成長。


「くまのブウル」を思い出した。

でもこちらは、雪と氷の世界

「ぽかっとでた雪あなの外。
 明るい!
 きらきらしている!
 (中略)
 それに、外の世界のひろいこと!(p.6)」


うまれたときは、子ねこぐらいだったマリヌスとティヌスも、
アザラシをとるようになり、やがてひとりだちしていく。

「白くまはさすらう。一生、さすらい、さまよいつづける。」(p.22)


人間との出会いも描かれます。
マリヌスのほうから見て、襲うつもりはないときに、
人間がとった行動が、ユーモアも交えて語られます。

これは、もとは、アルカルック・ビアンコという人が遭遇した、白くまの話。
この話を再話した人の手も経て、まわりまわって、ベアリナーのこの『白くまマリヌス』の中に入りました。

『白くまマリヌス』の最後、「お話のあとで」で、そのビアンコの本来の話が読めます。
こちらは、人間の気持ちから書かれているから、こわかったことがわかります。

お話の中のマリヌスには、人間がこわがっていることが理解できなかったんですね。

ユーモアもあるし、
また、雪と氷の厳しさがある世界で、さすらい続ける白くまの姿の厳しさ、宿命のようなものが、印象にのこりました。