ゆきて帰りし道で

映画と、児童文学と、絵本 etc.

他ブログから引っ越してきました。 まだ体裁やリンクが不完全です。内部リンク切れしています。

石井桃子

「マイク・マリガンとスチーム・ショベル」
バージニア・リー・バートン 文・絵/いしいももこ 訳
福音館書店



『ヴァージニア・リー・バートン『ちいさいおうち』の作者の素顔』で、一番最初に紹介されていた本だと思う。
バートンの、もう大人になった息子アリスとマイケルが写っていたっけかなあ?
スチームショベル、メアリ・アンの模型(?)と一緒にだったかなあ? 嬉しそうに。
こういう絵本があるんだなと思った。

スチーム・ショベルの、バケットと底ぶたのところが、顔になっているのが面白いですね。
スチーム・ショベルは、「メアリ・アン」という女の子(女性)なんですよね。
『ちいさいおうち』のおうちも、女の子じゃなかったっけ?

スチーム・ショベルって、古い型だけど、一応機械。
『ちいさいおうち』でいうと、田舎を掘り起こしたりするタイプのほうですね。
バートンは、単に田舎や自然を擁護しているわけじゃあないのかな、と思いました。除雪車や機関車の絵本もありますし。
(でも、時代が進んで新式の機械ができ、スチーム・ショベルが用済みになったとき、マイクとメアリ・アンは田舎へ出発しますけれど。)

息子や、小さい子どもたち、特に男の子が好きな機械も、こんな楽しい絵本にしているんですね。

この絵本のポイントは、ここかな。

「できるとも。ぼうやが そこで みていてくれればね」
と、マイクはいいました。「おれたちは、だれかが
みていてくれると、はやく ほれるんだ」


ここのことは、『ヴァージニア・リー・バートン『ちいさいおうち』の作者の素顔』にも、書かれていたと思うんだけど。
ちょっとうまく表現できないんだけど、誰かが見守っていてくれると、力が発揮できたり、がんばれたりすることのメッセージがある気がする。

「銀のスケート ハンス・ブリンカーの物語」上巻
M.M. ドッジ 作/石井桃子 訳
埼玉福祉会(大活字本シリーズ)



以前は、単に「ハンス・ブリンカー」というタイトル(?)だったとか、そういうこと聞いたことある。
(「銀のスケート」になったんだと思っていたら、ちゃんと副題に「ハンス・ブリンカーの物語」とありました。)
読みたいなーと思いながら、何年か。
ついに、手にとりました。
でも、これは、大きな活字のシリーズなので3巻に分かれていて、まだ上巻です。
(参考サイト:埼玉福祉会の、大活字本のページ

石井桃子さん訳です。

オランダの、ハンスとグレーテルという貧しい家の兄妹。
お父さんが事故にあってから、たいへんです。
まわりのもう少し恵まれた環境の子どもたち。いやな子どももいるけれど、
「~してくれたまえ」とか、特にみんなのキャプテン役のピーター・ファン・ホルプがさわやかです。

ほんとうなら、子どもがこんな言い方するのをずっと読んでいると鼻につくかもしれませんけれど、
オランダの真面目な感じが、人柄や町の描写に現れているのか、今のところ、あまり気になりません。

スケートも買えないハンスとグレーテル。
ばかにされていますし、家はたいへんなのです。
でも、何か秘密もありそうな感じ。
これから事件もおきるでしょう。

後半を読むのが楽しみです。

(追記)
中・下巻よみました。

「100まんびきのねこ」
ワンダ・ガアグ 文・絵/いしいももこ 訳
福音館書店



瀬田貞二さんの、『絵本論』という本を読んでいると、この、ワンダ・ガアグのことが、ちょくちょくでてくるんです。
そんないい絵本を描く人なのかという思いと、石井桃子さんの訳だったから、今よんでおこうと、手にとりました。

アメリカの絵本で1928年とありますから、古いですね。
絵自体は、白黒です。

構図が面白い。
左下から右上に流れるように続く道や、上空の雲。
痩せた猫が丸々となるまでの、連続した絵のつながりが半円になっているところ。

また、話の筋には、どの猫を選ぼうかという、繰り返しも見られます。

猫たちがほんとうに「たべっこ」してしまったとすると、考えるとこわいですが。
話が昔話ふうになっているので、そこはあまり考えないとして。

最後の絵、気に入りました。
おじいさんとおばあさんの後ろの壁にかかっている写真(絵?)。
二人の結婚式のときのでしょう。



(追記)
関連記事:福音館書店のメルマガの飯野さんの連載のこと

(追記)
『絵本論』読みました

「ちいさいおうち」
バージニア・リー・バートン 文・絵/石井桃子 訳
岩波書店(岩波の子どもの本)



バートンの『ちいさいおうち』、読みました。
こんなにちいさな絵本だったんだ。

『ヴァージニア・リー・バートン 『ちいさいおうち』の作者の素顔』を読んだとき、バートンの絵本で最も完成度の高い、というように評されていたように思う。
原著は1942年。いままでずっと読み告がれているし、名作なのですね。

笑っているようにみえる、ちいさいおうち。
まどが壊れているところは、おびえているような、悲しい顔にみえます。

時の変遷と、町並みの変化の表現。
同じ場所の時の移り変わりを見る方法は、『せいめいのれきし』でもありました。
楕円や曲線の繰り返しの絵の表現。
まるい曲線の、田舎の丘の表現の中に走る直線の道路のことなどは、『ヴァージニア・リー・バートン 『ちいさいおうち』の作者の素顔』にも書かれていました。

喜んでいるおうちの絵は、なんだか気持ちがほっかほかになるような色合いですね。
「ブランコの木」がありましたよ。



(追記)
(関連記事:「わが家のミカタ 最終回」

「せいめいのれきし」
バージニア・リー・バートン 文・絵/いしいももこ 訳
岩波書店



「名馬キャリコ」のリー・バートンです。
副題、というか表紙の下のところに
「地球上にせいめいがうまれたときからいままでのおはなし」
とあります。

「名馬キャリコ」は白黒だったけど、これはぜんぜん違いました。(でも、がにまたというかO脚の足は、「名馬キャリコ」で見た形だなぁ。)
舞台の幕の中に宇宙が入っちゃうんですから。

真っ赤に燃えた地球やらマグマみたいなのやら、鮮やかです。
いや鮮やかというよりも暗い赤で、混沌ムードで、冷えてきた地表なんか、暗い世界でこわいです。

日本語版をつくるのはたいへんだったでしょうね。
絵の中にある言葉、日本語で書き直して、特に表紙裏の年表など。
(背表紙の書き文字は、走り書きふうすぎるような気がするんですけど…)

古代生物のでてくるところは、わたしには難しくて、さっと読んだくらいだけど。
(でもこれを読んだ後で「タコって、何類?」という話題が出たとき、最近聞いたぞと思った。あの絵本にあったぞ。「頭足類」って。)

「エオヒッパス」という「四ほんゆびのちいさなうま」、かわいいです。こんなのがいたんだ。

古代からアメリカ大陸にうつった場面。
場面がうつるんだし、前のページの背景は海だし。
ここに恐竜がいた場所とは違うんだろうけど。
後ろの山三つ、古代の背景と一緒ですよね。

このアメリカの場面から後ろは、ずっと同じ場所の移り変わりを見ているのかな。
「うり地」になってしまうところは、一抹の寂しさ。
そこから後は、一家の生活を追う。

庭の左のほうに天使の像みたいなのがありますよね?
気づいたあとで、さかのぼってみたら、「5まく1ば」で出てきてて、2ばと3ばでは、見えない。

気づいたのは、6ばで西の山に日がしずみ、
7ばでぐるっと視点が回転して、左のほうから庭を見ているんだと思ったから。
そのとき、像は視点のほうに近くある。
(東西南北考えたら、わからなくなってきた。日が西に沈むからあっちが西だと思うけど、
7ばの北極星というのは?)
像のようなものがある?と思ったとき、羽があるような気がして。前の場面をたどってみた。
あの像が書かれているのはどういうような意味があるのでしょう。

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