「しあわせの石のスープ」
ジョン・J・ミュース 作・絵/三木卓 訳
フレーベル館



『せかい1 おいしいスープ』、『くぎスープ』のお話と似てる!
(参考:くぎスープ:HPの『世界のむかしばなし』の感想)

舞台は中国。
中国にも同じ話があるのだろうか?と思って読んでみたら、
訳者あとがきにこうありました。
著者のジョン・J・ミュースさんが、ヨーロッパに伝わっているお話を、中国にうつしかえたんだそうです。
(ちょっと残念…)
でも、韓国やフィリピンにも似た話がある、とも書いていました。
それはわかってよかったです。

さて、ジョンさんの書く絵はとても東洋的。
とってもきれいです。
あわくにじんだような景色。瓦屋根の建物。
そして人びとの表情。
アメリカ出身の人ですが、東洋に造詣が深い人なのだそうです。

ホク、ロク、ソーというお坊さんが旅の途中で立ち寄った村。
一番若いお坊さんのホクがかわいい。まだ少年みたいですね。

一番かしこいソーは、豊かな表情をしたおじいさんのお坊さん。
疲れて、幸せを知らない村人に、石からスープをつくることを教えようというのです。

お話の筋はほとんど『せかい1おいしいスープ』と似ているように思います。
楽しい食事会の宴があるところも。
ヨーロッパのほうの元話は、最後はほろっとしながらも、
ちょっぴりいたずらめいた、面白さがあります。
のせられたほうも、最後まで、ある意味だまされたということに気づいていないような部分もあったと思う。(特に『くぎスープ』。) 
記憶で書いていますが…。

でもこちらは、お坊さんの教えという枠があるので、
さわやかな気持ちになりながらも、面白みよりも講話的になっているところがあると思う。

黄色い衣を着た女の子といつも一緒にいる黒猫が、たくさんのページにみつかりますよ。