ゆきて帰りし道で

映画と、児童文学と、絵本 etc.

他ブログから引っ越してきました。 まだ体裁やリンクが不完全です。内部リンク切れしています。

J.シュピーリ

「ハイジ」(中)
J. シュピーリ 作/矢川澄子 訳
埼玉福祉会(大活字本シリーズ)





「ハイジ」、中巻に進みました。

「名作ホスピタル」、ハイジ第2回の分と、内容はまた重なりました。
つまりは、ついに、ハイジが病気になってしまうところです。

番組は、アニメについてなのですが、
アニメはよく、原作のツボを心得てるんだな、と思わせられたのは、
ロッテンマイヤーさんだけだったら反抗なり、ずるもできるけど、
ロッテンマイヤーさんは必ず「お嬢さまが…」という言い方をする、と言っていた。
「罪悪感を利用されることはこわい」って言っていたと思う。

確かに原作でも、ロッテンマイアさんは「恩知らず」なふるまいをしないように言っていた。
おばあさまこそが、ハイジがもっとも恩知らずと思われたくない人だったので、
おばあさまがやさしく、すべて話すように言っても、話せないのでした。

おばあさまがくれた、きれいな本にあった絵は、
あれは、聖書の放蕩息子の話ですよね!
そうだったんだ、知らなかった。
おばあさまがやさしく諭してくれた、思ったように望みがかなわないときどうしたらよいか、
それはハイジの心にしみました。
またそれは、アルムのおじいさん、ペーターのおばあさん、お医者のクラッセン先生へと、
それぞれ広がっていくのでした。

シュピーリがうまいなあと思い、また面白くて愉快だったのは、
はっきりそうだと書いていないのに、通じるところ。
ゼバスチャンとチネッテがどうしてクラッセン先生のアルプス行きを知ったか、
ロッテンマイアさんが、クララの用意したハイジへのお土産を、なぜか機嫌よく包んでくれたわけ、
ペーターがクラッセン先生をにらんでいたこと、
面白くて、くすくす笑えてきます。

ゼーゼマンさんのユーモアふかいところも素敵です。
「しかしクララは、理想のいぶきが相手じゃ、めんくらうんじゃないかな、ロッテンマイアさん?」(p.15)

しかし、ロッテンマイアさんも、ハイジは困りものかもしれないけど、
スイスの、
「きよらかな山の空気に咲きいでた、いわば、土にもふれずにおいたった娘」(p.14-15)

には来てほしかったわけだから、そんなに誰をもじゃまものにしたいような人じゃないんですね。
わりとロマンチストかも?

ゼーゼマンさんも人を上から見ませんが、
いいなと思うのは、お医者のクラッセン先生と、アルムのおじいさんとのふれあい。
全然ちがう二人だけど、その山での散歩は楽しいひとときでした。
またクラッセン先生を慕って追いかけるハイジの場面。
ハイジは、先生の悲しみを知らないのですよね。
私もこの中巻を読むまで知らなかった。




「ハイジ」(上)
J. シュピーリ 作/矢川澄子 訳
埼玉福祉会(大活字本シリーズ)





ハイジ、上・中・下巻のまずは上巻から。

本、読みながら、アニメの「アルプスの少女ハイジ」、思い浮かんでいました。

先日、TVで、「スタジオジブリ物語」という番組を見ていて、
ハイジがデーテに連れられて、デルフリ村へ、また上のアルムじいの小屋へのぼっていく場面をみた。
ころころに着膨れて、暑くてふうふういっているハイジ。
デーテが村人に話しかけられたり、アルムじいの噂話をしたり。
その場面がこの原作の描写のエッセンス、そのままという感じがして。

また、やぎの乳に、パンにとろけるチーズの食事。
よだれのたれそうな、アニメの場面がうかびます。

本でも、ほんとにそうだったのです、おいしそうで。
 
アニメで、ヤギのユキちゃんはどうしてユキちゃん(日本語)なのか、不思議だった。
本では、ユキンコになっていた。
ああ、だからだったんだ。きっと原文では雪を表す名前なのかなと思った。


続きをよむのが楽しみです。

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